合宿中の学生と体験授業を受ける城井小学校の児童ら
学生らは一日でも早く営業を再開させようと、自発的に復旧作業を始めた。ボートに乗り、湖面の木くずや葉っぱを籠や手ですくう。ボートに満杯になると陸に運び上げる。立教大3年の広田隆世さん(20)は1週間、朝7時から夕方まで作業を続けた。「愛するパークのためです」と日焼けした顔で笑う。練習できないことを知りながら、学生たちも駆け付けてきた。
再開のめどが立った日、地元、城井小学校の4~6年生約20人がパークを訪れた。同市では、本年度から全ての小学校がパークで体験学習をする。
「待ってたよ」「一緒に頑張ろうね」。学生らは整列して、笑顔で児童を出迎えた。慣れた手つきで救命胴衣を着せた後、水の危険を教えるために広田さんは溺れ役になった。水上スキー体験では、水中に潜って板を支え、板の上に立てたら一緒に喜ぶ。子どもたちは自然と、優しいお兄ちゃん、お姉ちゃんのそばに寄ってくる。木城達平君(4年)は「プールより楽しい」と声を弾ませた。中村さんによると、学生がいる時期を狙って体験学習を組む学校もあるそうだ。
学習院大4年の加納寛之さん(22)は「他の水上スキーの練習場と比べ、ここは地域の中での認知度が違う」と話す。住民は学生に積極的に話し掛け、温泉を割引したり、食事を振る舞ったりする。学生も温かく迎えてくれる地域との交流を望んでいる。祭りの準備を手伝い、盆踊りの輪にも加わる。高齢化が進む地域の立派な担い手だ。
世代も地域も超えて“仲間”となった住民と学生たち。それぞれの地域愛が地域の将来をつくる。
<メモ> 耶馬渓アクアパークは1994年にオープン。現在は年間約7千人が利用し、延べ約300人の学生が合宿に訪れている。各種大会も開かれ、昨年の全日本学生水上スキー新人戦で、中津市は市内だけで約1900万円の飲食、宿泊費などの経済効果があったと試算している。