新しい大分合同新聞、始まりました
Gate・紙面ビューアー体験キャンペーン
202042日()

中国は強硬姿勢を改めよ 香港民主派圧勝

 香港の区議会(地方議会)選挙で民主派が8割以上の議席を獲得して圧勝した。中国・香港政府は6月以来の民主化要求デモを多数の催涙弾や放水などで暴力的に封じ込めたが、有権者の多数は自由と民主主義を求める強い意思を示した。中国政府は選挙結果を重く受け止めて強硬姿勢を改め、香港返還の際に国際社会に公約した「一国二制度」の真の実現に向け、自由選挙制の本格的な導入など香港の民主化を進めるべきだ。自由と民主主義の価値観を共有する日米欧は、どのように支援すれば、民主化を効果的に後押しできるのか真剣に検討したい。
 選挙で争われたのは全18区議会の計452議席。民主派が約85%の議席を獲得し、約13%の親中派を大きく引き離した。投票率も返還後最高の71・2%を記録した。改選前は親中派と民主派の比率が7対3だった。
 区議会は地域の問題について政府に提言する諮問機関の役割を担う。親中派に有利な間接制の行政長官選挙や、一部議席が間接制の立法会(議会)の選挙に比べ、小選挙区の直接選挙で民意が反映されやすい。今回の結果は自由選挙制になれば、民主派の行政長官が誕生し、立法会で民主派が与党になり得ることを示した。中国の習近平国家主席は、大きな衝撃を受けたに違いない。
 香港警察は選挙前、「暴乱の制圧と秩序の回復」を求めた習氏の指示に従う形で、香港理工大を占拠していた学生ら1200人余りを一斉に逮捕し、学生たちの拠点を制圧。親中派は選挙運動で、一部の過激な若者が破壊や放火、交通妨害などの非合法な抗議行動で市民生活や経済に悪影響を及ぼしたと非難した。だが、抗議行動やそうした非難が民主派への支持に負の作用をもたらすことはなかった。
 6月以来、中国・香港政府の対応は失敗続きだった。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例改正案撤回は遅れ、デモ参加者のマスク着用を禁じる「覆面禁止法」の制定、実弾発砲など「警察の暴力」への怒りが抗議に拍車を掛けた。
 来日中の中国の王毅外相は「香港の安定や繁栄を損なういかなる企ても不可能だ」と国内外の敵対勢力の陰謀論を繰り返した。中国政府はデモの激化を受け、香港基本法(憲法に相当)23条に基づき、香港自ら国家分裂行為などを禁じる国家安全条例を早期に制定すべきだと圧力を強め始めた。だが「中国化」を嫌う香港の世論を直視しない限り、中国政府と香港住民の対立は解決できないだろう。
 香港の林鄭月娥行政長官は、市民の政府に対する不満が親中派の敗因と認めたが「暴力で問題は解決できない」と過激なデモをけん制。民主派が求める普通選挙導入は拒否する考えを示した。
 安倍晋三首相は王外相との会談で「一国二制度の下で、自由で開かれた香港が繁栄することが重要だ」と述べた。米議会は中国が同制度を守っているか毎年検証する「香港人権・民主主義法案」を可決した。欧州連合(EU)は理工大制圧の際に「いかなる暴力も受け入れられない」との声明を発表した。日米欧は連携して香港民主化を積極的に支援したい。
2019年11月27日

論説

 

 新聞ジャーナリズムの真骨頂が「論説」です。朝刊2面に掲載。現代社会が抱える広範囲な問題を真正面から捉え、公正な目で、批判すべきは批判して警鐘を鳴らします。少々硬く長い文章ですが、じっくりと読み込むことで物事の本質をしっかり見極めることができます。明日を考える指針の一つにしてください。

最新の紙面はこちら

ニュースアクセスランキング 16時21分集計

大分ニュース