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202049日()

東西南北

2020.1.19



 暖冬かと思うと寒い日がやってきて、思わず身をすくませる。季節柄当たり前の話である。だが、こう寒いと早く暖かくならないかと、春の到来が恋しい▼竹田市内の日当たりのいい斜面で、落ち葉から多くのフキノトウ(フキの花のつぼみ)が顔を出している。農家ではそれを収穫し、道の駅などに出荷している。本紙ローカル面で紹介されていた。今季は例年より2週間ほど早いらしい▼天ぷらやフキみそにするとほろ苦さが何とも言えない。子どもの頃には分からなかった、まさに大人の味である。本コラムの大先輩も「何よりも季節の使者である」と書いて、フキノトウがもたらす早春の土の香りとほろ苦さを愛した▼「春の皿(料理)には苦みを盛れ」と言われる。フキノトウの苦みは害虫から食べられないよう身を守るためだという。人間にとっては適度な摂取で冬の間に低下した新陳代謝を高める作用があるらしく、なまりきった体にはちょうどいい▼フキノトウは薄緑色で、春まだ浅い時期を象徴して好ましい。大きくなったフキは葉柄の部分を食べる。初夏、タンポポのような綿帽子の種を飛ばして子孫を残す。フキの花言葉は「待望」「愛情」などである▼30年ほど前、竹田支局に勤務した際、岡城西の丸跡で多くのフキノトウを見つけたことがある。旬を過ぎてつぼみは開いていたが、天ぷらにするとほろ苦い春があった。今はどうだろう。
2020年1月19日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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