危険運転致死傷罪などの改正案を全会一致で可決した参院法務委員会=16日
大分市の時速194キロ死亡事故などを機に見直しが進んだ危険運転致死傷罪について、参院法務委員会は16日、「数値基準」を導入する自動車運転処罰法改正案を全会一致で可決した。一定の速度超過や体内アルコール濃度があった場合に一律に適用する内容。施行後、運用状況を確認するように求める付帯決議も加えた。
17日の本会議で改正案を採決する。法案は3月31日に提案され、衆院より先に審議している。
「進行を制御することが困難な高速度」とする現行の規定について、平口洋法相は「常識的に見て極めて危険性が高い高速度でも、適用が否定される場合がある。実態に即した対処を可能とするために法整備をする」と説明した。
飲酒についても、現行の「アルコールの影響で正常な運転が困難」の成否を巡り、「判断にばらつきが生じている」と述べた。
数値基準は▽一般道で最高速度を50キロ超過▽高速道で60キロ超過▽呼気1リットル中0・50ミリグラム以上のアルコール濃度―とする。法務省刑事局によると、刑事法制の処罰要件に数値を盛り込むのは初めてという。また、意図的にタイヤを横滑りさせるドリフト走行も新たに危険運転罪の対象とする。
この日は与野党の8人が質問に立った。大分選挙区の古庄玄知氏は「アルコール濃度を0・30ミリグラム以上とするべきだとの意見もある」とただした。法務省の佐藤淳刑事局長は「医学的知見では、誰にでも注意力の低下が生じるのは0・50ミリグラム」と答えた。
泉房穂氏は「厳罰化だけでなく、60キロ超過なら免許を取り消すなど、極端なスピード違反を取り締まるべきではないか」と訴えた。
付帯決議は施行後、数値基準の適用状況を調べて、適正かどうかの検討を要求している。
<メモ>
時速194キロ死亡事故は2021年2月9日午後11時ごろ、大分市大在の一般道(法定速度60キロ)で発生した。当時19歳だった男(24)は、乗用車を時速194キロで走らせ、交差点を右折してきた乗用車に激突。運転していた同市坂ノ市南、会社員小柳憲さん=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた。24年11月の一審大分地裁裁判員裁判は危険運転致死罪で男に懲役8年の判決を下した。二審の福岡高裁は今年1月22日、一審判決を破棄。過失運転致死罪に変更し、懲役4年6月に減刑した。検察側が最高裁に上告している。