県が設置したセンサーカメラに写ったニホンカモシカ=昨年10月、豊後大野市(県自然保護推進室提供)
大分、熊本、宮崎の九州3県で、国の特別天然記念物ニホンカモシカの減少が深刻だ。約25年間で10分の1ほどに減っており、絶滅も心配されている。野生動物の調査や保全に取り組む3県の団体は、保護対策の強化を求める要望書を環境省九州地方環境事務所に提出。関係者は「このまま何もしなければ消えてしまう」と危機感を募らせている。
大分県教委文化課によると、個体群や生息環境を把握するため、3県合同でおよそ7年に1回のペースで調査をしている。直近の2018、19年度は推定生息数が過去最少の約200頭で、大分県内はわずか17頭ほどとみられる。初めて推定数を出した1994、95年度には3県で計約2200頭だった。
NPO法人おおいた生物多様性保全センターの足立高行さん(74)は、減少の主な理由としてニホンジカとの競合を挙げる。
カモシカがすむ高い山地や丘陵地で木の伐採・造林が進み、そこで育つ若い草木を食べにシカの群れが移動。カモシカが餌場を追われたという。「カモシカは新たな餌場を探すが、シカと違ってほとんど群れないため生息範囲が点々とし、繁殖機会が減っていると考えられる」と説明する。
要望書は7月、同センターと熊本野生生物研究会、NPO法人宮崎野生動物研究会が提出。▽保護強化の対象になる「第一種特定鳥獣」への指定と保護計画策定の推進▽複数県にまたがる保護地域の指定▽国や自治体における関係部署・機関の連携強化―などを求めた。
受け取った環境省九州地方環境事務所は「保護を進めるには連携が必要。本庁も含めて検討し、方法を探りたい」と述べた。
鳥獣保護に関わる大分県森との共生推進室は「関係各所と協議しながら保護の進め方を考えていきたい」。県内のニホンカモシカ保護計画を策定している県自然保護推進室は「3県間での協力体制をさらに深めたい」と話している。