T34/53/54男子で優勝した金華=17日、大分市西浜のジェイリーススタジアム
第43回大分国際車いすマラソン(大分県、日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会、大分合同新聞社など主催)は17日、大分市の県庁前をスタートし、ジェイリーススタジアム(市営陸上競技場)にフィニッシュする国際陸上競技連盟公認コースであった。最速クラスのマラソンT34/53/54男子は金華(ジンホァ)(25)=中国、同女子はカテリーヌ・デブルナー(29)=スイス=が勝利した。
金はパリパラリンピック銀メダリスト。銅メダルの鈴木朋樹(30)=埼玉県=とのトップ争いを制し、1時間18分31秒で栄冠を手にした。中国勢の優勝は大会史上初。3位は羅興伝(ローシンツゥエン)(21)=中国=が入った。
女子は昨年の覇者でパリパラ金のカテリーヌ・デブルナーが序盤から独走。1時間36分49秒のタイムで2大会連続の優勝を飾った。2位は3分11秒差でパトリシア・イーカス(35)=スイス=が入り、1秒差で土田和歌子(50)=東京都=が続いた。
大会は13カ国・190人が出走し、179人が完走した。障害の程度に応じた3クラスに分かれ、マラソン(42・195キロ)とハーフマラソン(21・0975キロ)で競った。多くの県民が声援を送り、選手を後押しした。
■2位に大差、自己ベスト
「沿道のたくさんの声援に力をもらって、いいペースで走れた」。2位を大きく引き離して初優勝を飾った金華(ジンホァ)(25)は、笑顔で観客に感謝を伝えた。
9月のパリパラリンピックから間もない期間で臨んだが「疲れもなく状態は悪くなかった」。5連覇中だったマルセル・フグ(38)=スイス=がけがで欠場となり、パリで競い合った鈴木朋樹(30)を意識していた。
序盤から鈴木と2人の争い。過去2回はハーフにエントリーし、大分でのフルマラソンは初めてのため、「コースを熟知する鈴木を追っていこう」と考えていた。折り返しのたびに少し引き離されるも、すぐに追い付く展開を繰り返した。
34キロ過ぎ。得意の上り坂で一気に突き放した。フィニッシュの瞬間は、右手を小さく挙げてガッツポーズを作った。
12歳の時に交通事故で障害を負った。2013年に車いす陸上を始め、19年には世界選手権に出場。パリでは、フグに次ぐ銀メダルを獲得した。
自己ベストを更新する走りにも「もっと記録を縮めたい」とさらなる高みを目指す。「力をつけて、次はフグに勝てるといいな」と笑った。