【キーウ共同】ロシアが構築を進めている衛星通信サービス「ラススベト(夜明け)」の衛星に中国製電子部品を搭載して量産態勢に入った可能性が高いことが、ウクライナ軍が入手した情報で12日分かった。軍関係者が共同通信に明らかにした。侵攻を受けるウクライナは、ロシアが通信網を完成させて軍事利用すれば戦局に大きく影響するとして警戒を強めている。
ロシアは年内か来年初頭にも運用を開始する可能性がある。ウクライナ領内で衛星通信網を利用すれば、機体からの映像を見ながら操縦する一人称視点(FPV)無人機を広範囲で遠隔操作できるようになる。現在は前線周辺の使用に限られている。ウクライナ軍関係者は「衛星と無人機が結び付けば、世界全体にとって深刻な脅威になる」と警告した。
ラススベトは米スペースXの「スターリンク」への対抗が目的とされる。ウクライナ軍は、ロシアが昨年から衛星部品に中国メーカー、上海復旦微電子の集積回路(IC)などを取り入れ、量産を始めたとする情報を得た。2023年時点の試作衛星では米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)のICを使っていたという。
軍関係者によると、ロシアは今年3月と7月に北西部のプレセツク宇宙基地から衛星16機ずつ計32機を打ち上げた。衛星の数がまだ少ないため、現在はウクライナ領内で使用する場合、1日当たり2~4時間半に限られるとみられる。専門家は本格稼働させるには計250機程度が必要だとしている。
ウクライナ政府は8月、周波数や人工衛星の軌道の割り当てなどを担う国際電気通信連合(ITU)に、ラススベトが軍事目的で使われるとして、ウクライナ領で周波数を割り当てないよう要請した。
米政府は昨年9月、ロシア軍に軍事技術を提供したとして、上海復旦微電子を制裁対象に追加していた。
ラススベト ロシアの宇宙企業「ビューロー1440」が構築を進める衛星通信サービス。ロシア語で「夜明け」を意味する。第5世代(5G)移動通信システムを使用し、米実業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXが提供する衛星通信サービス「スターリンク」との類似性から、ロシア版スターリンクともいわれる。ウクライナ軍は自国領内での軍事目的利用を懸念している。
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