ロシアのウクライナ侵攻から24日で4年半。侵攻が長引き、日本へ逃れた人たちは地域に溶け込んで暮らすようになった。福井市内で働く女性(61)は生活に慣れたが、生まれ育ったウクライナに戻ることを望む。共に避難した孫(13)は帰国への思いを募らせていたものの、日本語を習得し友人もできたため「帰りたくない」と口にするようになった。異国で暮らす家族に、帰国へのさまざまな思いが交錯する。
7月、福井市の認定こども園「光の子」。リュボーフィ・クシニリエンコさんが園児を膝に乗せ、おもちゃで遊んだり絵本を読み聞かせたりした。週3回、主に0~2歳児の遊び相手やおむつ替えをしている。波多野祐子園長(57)は「日本人の先生と変わらず園児がなついている」と話す。
侵攻が始まった2022年2月は仕事でイタリアにいた。ウクライナ北東部のスムイ州から逃れた娘と、孫のブラドゥ・モルチャノブさんと合流。福井市に到着し、もう一人の娘で侵攻前に来日した今村イリーナさん(41)宅に身を寄せた。
リュボーフィさんは「周りの人は優しく生活に慣れた。子どもや家族がいるから寂しくない」と強調する。ただ、ウクライナに残った夫や妹たちの身を案じ「一緒に食事し畑仕事をしたい。生まれ育った国に帰りたい」と侵攻前の日常を望む。
「日本に住み続けたい」。孫のブラドゥさんの考えは、リュボーフィさんとは異なる。避難したのは8歳の時。1年ほどはウクライナの友人とオンラインで通話していたが、日本で友人ができて連絡を取らなくなった。
中学校ではバスケットボール部に所属。休日は友人らと自転車で買い物や食事に出かける。苦手だった日本語は先生や友人らとの会話で自然と身につき、ほとんど理解できるようになった。
欧州などに避難した友人も多く「ばらばらになってしまった」とブラドゥさん。「今帰国しても昔の友だちとは仲良くなれないかもしれない。日本でたくさん友だちができたので帰りたくない」と流ちょうな日本語で語った。
避難した2人のそばで暮らしたイリーナさん。自身は、友人だった福井市のロシア人女性と一切会わなくなった。侵攻を肯定する姿に怒り、失望したからだ。親族だけでなく、自身も侵攻に翻弄された。「攻撃のニュースを見るたびに心が痛む。早く終わってほしい」
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