ウクライナ東部ドネツク州ドブロピリャに住むカテリーナさん=19日(共同)
【ドブロピリャ共同】ヒマワリとトウモロコシの畑を抜けると、廃虚が広がっていた。ロシア軍の猛攻を受け一時は陥落の危機に陥ったウクライナ東部ドネツク州ドブロピリャ。かつて2万人が暮らした街の人口は激減。上空を飛ぶ無人機の羽音に「木陰に隠れろ!」。軍関係者が叫んだ。爆発音が響き続ける最前線に共同通信記者が19日、入った。
ロシア軍はウクライナ軍との最激戦地、ポクロウシクを包囲するため、今年に入り補給線を担うドブロピリャの攻略を狙った。現在もロシア軍は最も近いところで市街から約10キロの地点にいる。陥落の危機が迫ってから日本メディアが現地入りするのは初めて。
ボランティア拠点や商業施設は空爆で破壊され、集合住宅の窓ガラスは割れていない方が少ない。断水は1カ月ほど続いており、営業する食料品店は街で1店だけだ。
この店を訪れたカテリーナさん(63)は「一人息子を殺され、今は家族も友人もいない。ここに残るのは、私のような年寄りだけだ」と嘆く。日中の中心部に人影は皆無で、行き場のないイヌやネコがさまよう。無人機の方向を見上げ「もうここに人はいないのに」。カテリーナさん以外の住民はほぼ見当たらなかった。
防衛任務に当たる国家親衛隊第14特務旅団のマキシム報道官によると、ドブロピリャから9割以上の住民が避難した。7キロ北方のビロゼルスケにも最近激しい空爆があり、薬局や郵便局、商店が破壊された。1カ月ほど前に約1万人の住民のほぼ全員が避難したという。
ドブロピリャで取材中、無人機の「ブーン」という音がどこからか聞こえた。マキシム報道官が隠れるよう命じた数秒後、爆発音が響いた。2時間の滞在で4度、木陰や屋根のある場所まで走った。より破壊力が大きいのはロシア軍機からの誘導滑空爆弾。約1カ月前に着弾した市内の商業施設の地面は数メートルの深さにえぐられていた。
ドブロピリャへの猛攻は、ロシアのプーチン大統領とトランプ米大統領が米アラスカ州で会談した8月15日の直前に始まった。同旅団の司令官は、ロシアが米国との交渉を有利に進めるため、戦果を急いでいたとみる。
ロシアは、ウクライナ東部のドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)全域の割譲を和平条件の一つとする。戦争が終わるなら、ドンバスがロシア領になることを認めるか―。カテリーナさんに聞いてみた。
「プーチンの狙いは領土じゃない。ウクライナ国家と国民をひざまずかせることだ。ドンバスを譲ったとしても、またいつか攻めてくる」
ドブロピリャ ウクライナ東部ドネツク州北西部の都市。2022年のロシアによる侵攻開始前の人口は約2万8千人。攻撃の激化を受けて25年7月には子どもを持つ家庭の強制的な避難が始まった。約20キロ南方のドネツク州要衝ポクロウシクとは幹線道路で結ばれている。ソ連時代からの炭鉱があり、トウモロコシなどの農業も盛ん。(ドブロピリャ共同)
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