相次ぐ自然災害からどう身を守るか――。大分合同新聞社の記者2人が大分大CERDの客員研究員となり、大型企画「#あなたを守る おおいた発 減災への挑戦」でその手だてを考えた。
※大分合同新聞 1面、おおいた総合面 2021年3月28日~2023年3月25日掲載
集落を囲む緑が不自然に途切れている。 中津市耶馬渓町金吉かなよしで2018年4月に起きた山崩れは住民6人の命を奪った。復旧工事は昨年3月に完了。崩れた斜面を覆う広大なコンクリート壁が災害の脅...
中津市耶馬渓町金吉かなよしの山崩れが起きる約1週間前だった。 2018年4月5日。大分市の大分大旦野原キャンパスで、同大減災・復興デザイン教育研究センター(CERD=サード)の研究者と、IT...
アルファベットと数字の羅列が次々とパソコン画面に表示されていく。 「順調かな?」。2月下旬。大分市金池南に本社を構えるIT企業ザイナスで、常務の山本竜伸(45)が若手技術者に声を掛けた。 刻々と変わる雨量、地質・地形などの地理条件...
昨年7月8日の夕方、土砂崩れで幹線道路が寸断された日田市中津江村栃野地区の上空を小型無人機ドローンが飛んだ。未明までの記録的な豪雨がいったん落ち着き、被害状況を確認するためだ。 県建設業協会日田支部で災害時の対応責任者だった河津賢太郎...
3月中旬、メモ帳とカメラを持った若者7人が日田市天瀬町の天ケ瀬温泉街を歩いた。防災・減災をテーマに活動する大分大の学生団体「学生CERDサード」のメンバーとして「自分たちに何ができるのか」を考え...
豪雨や台風など自然災害が激甚化する中、大分大は県内外のIT企業とタッグを組んで災害情報活用プラットフォーム「EDiSONエジソン」の開発を進めている。多様なデータと先端技術を駆使して被害を最小限...
大分大は本年度、インターネット通信機能を持つ簡易な地震計を大分県内の公共施設40カ所に設置する。大規模な地震が発生した際、気象庁が発表する震度情報だけでは分からない建物ごとの被害状況を迅速に把握するのが狙い。各施設が避難所として使えるかど...
< あなたがいる場所はこの先、何らかの災害が起きる可能性が高いです。今すぐ逃げましょう > 自治体やスマートフォンの緊急速報などが伝えるメッセージは近い将来、より緊迫感を持って聞こえるかもしれない。 大分市の大分大減災・復興...
豪雨による土砂崩れや住宅の浸水、ライフラインの寸断……。県庁にある防災センターの大型モニターに、県内の各市町村から届いた被害情報が次々と表示される。 約7km離れた大分市の大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERD=サード)に...
モニターに表示された大分県地図が紫やオレンジに染まっていく。 県北西部に大雨警報が出た5月20日。地場IT企業ザイナスのシステムエンジニア渕洸介(22)は、朝から大分市の大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERD=サード)に詰...
その時、避難所は使えるのか。 将来の発生が予想される南海トラフ地震は、太平洋側の広い範囲で甚大な被害が出る見込みだ。県内もほとんどの地域で震度5強以上の揺れに襲われ、沿岸部は津波が押し寄せる恐れがある。 災害情報活用プラットフォー...
「山中で斜面が崩壊した可能性がある。出動!」 豪雨による災害の発生を推測し、指令を出すのは大分市の大分大を拠点に開発が進む災害情報活用プラットフォーム「EDiSON(エジソン)」の人工知能(AI)だ。 現場に近い公民館などに置いた...
学校のタブレット端末に大分県地図が表示される。 「身近な場所を調べよう」。先生に促され、児童は自分たちの住む地域をタップする。何十年も前に起きた河川の氾濫や土砂崩れ、地震……。蓄積されたニュース映像や新聞記事が伝える事実は、子どもたち...
河川の水位変化を示す折れ線グラフがスクリーンに映し出された。 5月16日、日田市天瀬町。昨年7月の記録的豪雨で被災した天ケ瀬温泉街の一角にある赤岩湯公民館で、住民16人が当時のデータに見入った。 「あの時、何が起きたのか。しっかり...
崩れた護岸に大型の土のうが積まれている。 昨年7月の記録的豪雨で被災した日田市天瀬町の天ケ瀬温泉街は今も爪痕が残る。この梅雨や台風シーズンにどう備えるか。独自の避難マップを作る計画が始まったのは3月末だった。 地域の防災や復興活動...
4月中旬。大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERDサード)の次長、鶴成悦久よしひさ(44)と防災コーディネーター板井幸則(62)は、玖珠町大...
「まず自分の家を探して印を付けてください」 5月中旬から下旬にかけ、日田市天瀬町の天ケ瀬温泉街であった図上訓練。5地区の住民計66人が公民館などに集まり、新たな水害に備えた避難ルートマップ作りに挑戦した。 大分大減災・復興デザイン...
昨年7月の記録的豪雨で住民はどんな避難行動を取ったのか。 大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERDサード)次長で准教授の鶴成悦久よしひさ...
けたたましいサイレンが繰り返し鳴った。 6日午前、日田市天瀬町の天ケ瀬温泉街。梅雨時の大雨と洪水を想定した避難訓練が始まった。 「ここまでの移動手段は何ですか?」 「危険を感じた場所はありましたか」 指定避難所の市天瀬公民...
大分市のIT企業ザイナスは本年度、衛星画像を人工知能(AI)で分析し、災害発生箇所を見つけるシステムの開発に取り組む。災害の激甚・広域化で被害確認に手間取るケースも懸念される中、新たな情報収集の手法を確立し、迅速な被害把握や避難、復旧など...
津久見の市街地で土砂崩れが起きたようだ――。 6月24日午前10時すぎ。大分市旦野原の大分大研究室にいた同大減災・復興デザイン教育研究センター(CERD=サード)次長の鶴成悦久(よしひさ)(44)は、知人からのメールに顔色を変えた。ほ...
大型モニターにカラフルな図形が並ぶ。県内各地の災害発生リスクの高さや、降雨で土壌にたまった水分量などを示すグラフだ。 6月下旬。災害情報活用プラットフォーム「EDiSON(エジソン)」の開発を進める産学のチームは、大分市旦野原の大分大...
2日、杵築市山香町の田園地帯。大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERDサード)のメンバーが小型無人機ドローンを飛ばし、空撮動画の質を高める実験に臨んだ。 機体は次々に動き方を変える...
災害時の小型無人機ドローンの情報収集態勢を強化できないか――。 12日午後、県庁の会議室。県防災局が設けた意見交換の場に、行政や民間企業・団体の約20人が集まった。 手軽に空撮ができるドローンは災害現場での活用が定着しつつある。3...
梅雨前線の影響で県北西部を中心に強い雨が降った9日。大分市旦野原にある大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERDサード)の研究室は、朝から緊張感が漂っていた。 大分大を拠点に開発が進...
大分大と連携した大型企画「#あなたを守る おおいた発 減災への挑戦」第5部は、4月から同大減災・復興デザイン教育研究センターの客員研究員となった大分合同新聞社の記者2人が現場で感じた思いや課題をつづる。初回は同大の授業「減災科学」をピック...
▼報道部編集委員 田尻雅彦(46) 大分市旦野原の大分大で7月下旬にあった一般教養科目「減災科学」で、同僚と災害報道をテーマにした授業の講師を務めた。 ...
災害情報活用プラットフォーム「EDiSONエジソン」。その存在に初めて触れたのは昨年末だ。 2020年7月の記録的豪雨の関連取材をするため、大分市旦野原の大分大減災・復興デザイン教育研究セン...
豪雨が多発する梅雨季が去ったのもつかの間、8月は長雨が日本列島を脅かしている。 地球温暖化を背景に、自然災害の広域・激甚化が進む。これまでの想定が通用しない災害に対しては、河川改修などハード整備の「防災」だけでは追い付かない。...
災害は突然起きる。 6月24日午前。津久見市港町の市街地で土砂崩れが発生した。一報を受けた大分大減災・復興デザイン教育研究センター(CERDサード)のメンバーは調査のために現場へ急行。私も後...
10日付の紙面はこちら