多世代共生型の街とは。──住・商・医・保育が溶け合う「街の未来」
不動産総合デベロッパーの株式会社エスコン(本社:東京都港区、代表取締役社長:伊藤貴俊)は、緑豊かな自然に囲まれ、落ち着いた住環境として愛されてきた大阪府の北摂・千里エリアにおいて、かつて地域の医療を支える象徴であった「国立循環器病研究センター」の跡地を舞台に、新しい多世代共生型の街を形にしました。
それが、分譲マンション「レ・ジェイドシティ千里藤白台(総戸数642戸)や戸建て、商業施設、クリニック、そして認可保育園がひとつにつながる新しい街「TSUNAGU GARDEN千里藤白台」※です。
※本プロジェクトは、中電不動産との共同事業

敷地内に開発した分譲マンションは、駅徒歩15分という少し距離のある立地でありながら、蓋を開けてみれば、購入された方の約8割が20・30代という若い子育て世代でした。利便性や効率だけで語られがちな現代の住まい選びの中で、若いファミリー層がこの街に見出した「これからの暮らしの質」とは何だったのか。
土地の仕入れから建築、販売、そしてお引き渡し後のコミュニティづくりまで、足掛け6年もの間、同じメンバーでずっと対話を重ねながらまちづくりを行った社員たちの、等身大の奮闘記をお届けします。

【インタビュー】
写真右から
株式会社エスコン 執行役員 西日本開発部長 中田 智人
株式会社エスコンリビングサービス グループ長 赤松 茂春
株式会社エスコン 西日本企画販売部 サブマネージャー 中井 康貴
株式会社エスコン 建築企画部 マネージャー 佐々木 克之
「点」の箱ではなく、みんなが心地よく暮らせる「面」の街を
――この場所でコンパクトシティを計画した経緯は?
中田:
私が社内で「こんな街を作ったら絶対に面白い」と仕掛けたのが始まりです。以前に手がけた周辺のレ・ジェイド(エスコンの分譲マンションブランド)シリーズが大変好評で、この地域に暮らす人々の温かさに触れていたからこそ、「マンションと戸建て、スーパーや病院、保育園がそろう街を作れば、千里の次の未来につながるふるさとになる」という確信がありました。

ただ効率よくマンションの建物を建てるだけの開発ではなく、この場所だけで心地よく生活が完結する「コンパクトシティ」の構想がありました。その想いに共感したパートナー企業も集まり、街全体のデザインや歩道の幅にいたるまで、みんなで意見を出し合って形にしていきましたね。
佐々木:
敷地全体の面積が広く、高低差のある難しい土地だったので、建物の高さを工夫し、南側に低い商業施設や戸建てを配置して一番奥の北側に高いマンションを置くことで、敷地全体に日影の影響が出ないようレイアウトを工夫するなど、パズルを解くような試行錯誤を重ねました。
中田:
レイアウトの細かな調整こそあれど、数年前に描いた基本構想は、ほぼ当初の予定通りの姿で現実のものとなりました。振り返ってみて感じるのは、民間主導で理想の街を一からつくるという道のりは、想像以上に手探りの連続でした。
例えば、街全体を見渡すと統一感があると思います。デザインコードを定めて、全体的に統一感のでるように規約を作りました。
一番苦労したのは、「環境アセスメント」※です。吹田市や地域住民の方々と決めたことを確実に実現しなければなりませんが、当時はちょうどコロナ禍で、今では普通に行われる大人数でのWEB会議も、とても苦労したことを覚えています。
佐々木:
「環境アセスメント」は中田さんがおっしゃるように、とても大変なものでした。吹田市は地域住民の意見を非常に重視するため、毎回100名以上の住民の方々が参加した説明会を4回実施しました。藤白台を高級住宅街としてイメージを守りたいという想いが住民の方々にあったため、商業店舗の開発には難色を示されていました。住民の方々のご意見をお聞きし、公園の位置や当時企画していた高齢者施設の位置を変更したりしました。地域の皆様が受けれてくださるまちづくりを目指して開発の中田さんと相談しながら、全体計画を練り上げていきました。
※環境アセスメント:工場の建設や大規模開発などの事業を実施する際に、事業者自らが環境への取り組みを行うための制度。事業計画の早い段階から、自社の環境方針を踏まえて、環境への取り組みを検討し、環境への取組内容は一般に公開され、住民からの質問や意見に答える必要があります。また、市長意見に基づいて、環境への取組内容を検討する必要があります。
みんなのアイデアを詰め込んだ、手作りのコンパクトシティ
――敷地内の設備やサービスはどのようにして考えたのか?
佐々木:
日本の中でも、民間主導でエリアマネジメントやコンパクトシティの仕組みに取り組む事例は本当に少なく、どこにも正解がありませんでした。専門のコンサルタント会社に頼めば大きな費用がかかり、この街に合ったアイデアが見つかる保障もありません。それならと、自分たちで毎週集まって、ゼロから頭を悩ませようと決めました。開発部、建築部、販売部、そして引き渡し後の管理部門まで、数年間同じメンバーが集まる「エリアマネジメント会議」を2年以上開き続けました。
中田:
通常なら数億円規模とも言われるシステム開発費ですが、これまでの繋がりやご紹介等をいただき、気鋭のITベンチャー企業とタッグを組むことで解決の糸口を見出しました。
佐々木:
自分がここに住むなら、どんな機能があれば毎日がちょっと楽になるか。 スマートフォンで共用エントランスの鍵を解錠できるようにしたり、LINEのメニュー画面からランドリー(共用施設)の空き状況や、キッズスペースの混雑状況(防犯カメラ映像による)を一括で確認できるようにしたり、住む方の日常の目線に沿って徹底的にこだわった仕組みを盛り込みました。
マンション共有施設については、「ライブラリーラウンジ」や「シェアキッチン」「インドアゴルフ」など、メンバーがアイデアを20個ほど出し合い、ほぼすべてを実現させました。

ライブラリーラウンジ

インドアゴルフ
佐々木:マンション内だけではなく、街区内の商業店舗やクリックの混雑状況を確認できたり、店舗からお知らせを受け取れるようにしています。入居者にとっては混雑時を避けたり、お買い得商品を知ることができましし、テナント側にとっても混雑を分散できればより効率的に運営することが可能になります。
「毎日の送り迎えの時間が、ゆとりの時間に変わるなら」
――分譲マンションをご検討されたお客様の反応は?
中井:
当初、総戸数642戸という大規模な住まいがどのように受け入れられるか、大きなプレッシャーを感じていました。何より「駅徒歩15分」という距離は、子育てで忙しい世代にとって大きなネックになると思われていました。
それでも実際にお客様と接していると、お客様自身の不安を払拭したのは、少しずつ完成していく「実際の街の風景」でした。 一戸建ての街並みが広がり、手前にはお買い物が便利なスーパーやドラッグストア、飲食店がオープンし、暮らしの利便性が目に見える形になっていきました。

「駅からの距離は少しあるけれど、目の前のスーパーで買い物ができて、料理が大変な時はすぐ近くで外食もできる。雨の日でも、共用棟にあるボーネルンド監修のキッズルームへ気軽に遊びに行ける。家の中だけで完結させず、街全体を自分のリビングのようにシェアできたら、毎日がすごく効率的で気持ちが楽になりますよね」
そんな実際にイメージができる生活が、多くのお客様の心に響いたと思います。

キッズルーム
中井:
特に、敷地内(共用棟2階)に誘致した「吹田市認可保育園」は、共働き世帯にとって大きな決定打となりました。「毎朝、遠くの保育園まで往復20分かけて送り迎えする手間がなくなるなら、駅からの距離は十分に相殺できる」と、多くの方が笑顔で納得してくださいました。 先に入居された若い世代の皆さんが、敷地内で楽しそうにすれ違い、挨拶を交わすリアルな生活風景そのものが、新しいお客様の決断を優しく後押ししてくれたと感じます。

佐々木:
藤白台は子育て環境が良いといわれているので、子どもたちが安心して過ごせる場所を敷地内に作ろうと考えたのは自然の流れでした。親の目の届きやすいキッズルーム、芝生のあるコミュニティ広場、レンタル三輪車、貸し農園など、お子様が安全に身体を動かせる場所を作りました。共用施設の利用率はどれも非常に高く、使っていただけていることに喜びを感じます。
住まう人が主役となって、あたたかく自走を始めた街
――動き出した街。一番近くで見ていて感じることは?
赤松:
建物を綺麗に維持するだけでなく、どうすれば住民の皆さんのコミュニティがあたたかく育っていくか。最初は本当に手探りで、何が正解かわからない状態が精神的にも一番しんどかったです。
その不安が確かな手応えに変わったのが、住民の皆さんと一緒に開催した「ウェルカムパーティー」でした。1期目・2期目と段階的に引き渡しを行う中で、少しずつ街に馴染んでもらえるよう企画したこのイベントには、戸建て街区の方も含めて約223世帯・600人以上が集まりました。


ウェルカムパーティーの様子
地元の北千里高校の吹奏楽部やダンス部が素敵なパフォーマンスを届けてくれたり、敷地内の農園でトウモロコシの収穫体験を行ったり。エスコンの建築や販売部の社員、パートナー企業の皆さんも全員が青いお揃いのスタッフTシャツを着て、一丸となって場を盛り上げました。

北千里高校吹奏楽部の演奏

トウモロコシの収穫体験

佐々木:
開発して引き渡ししたら手が離れてしまっていた開発部や建築部の社員が、実際にお客様が楽しそうに過ごしている姿を直接見られたことは、本当に意味のある時間だったと感じます。
赤松さんは、社内にノウハウがない中で、私たちの『あれをやりたい、これを取り入れたい』という要望を親身に聞いて、どうすれば実現できるかを一緒に考えてくれました。グループ内で取り組めることも、この街に実現に繋がった要因の一つだと思います。
赤松:
ウェルカムパーティーの後も、街のコミュニティは住民の皆さん自身の手で育ち始めています。ハロウィンのおばけ探しゲームや、住人が出演するクリスマスマーケット、そして着なくなった子ども服やハビーの雑貨を持ち寄るフリーマーケットなど、住民有志のボランティア約10名による「イベント検討会」が主導となり、毎年のイベントが独自に開催されるようになっています。

クリスマスマーケット

フリーマーケット
時間がかかるまちづくり
――感じた手ごたえと、今後やってみたいことは?
中田:
今回は完全な民間主導で行いましたが、行政と一緒に取り組むプロジェクトをやってみたいです。行政が整備し、その周囲に当社がマンションや商業施設を開発するような形です。建物や設備によりコストをかけられる工夫も可能になり、行政とタッグを組むことで、できることの幅が広がることもあります。そうしたチャレンジに挑戦していきたいです。
佐々木:
エリアマネジメンに取り組んでみて感じたのは、とにかく時間と手間がかかるということです。様々な関係者に対してアプローチを繰り返す必要があり本当に大変でした。今後は、グループ会社の「エスコンリビングサービス」がエリアマネジメント業務を包括的に受託できるようになれば、グループとしての大きな強みになります。ただマンションを管理するだけでなく、住民同士のコミュニティ形成やイベント運営を主導していくことで、管理会社としての価値がさらに高まります。今回のウェルカムパーティーを通じて、エスコンリビングサービス側からも様々な新しいアイデアが出てくるようになりましたので、この流れを継続していきたいです。藤白台だけでなく、このノウハウを横展開して、エスコンが手掛ける素晴らしい街を増やしていければと思っています。
赤松:
エスコンリビングサービスは管理会社ですので、「建物を維持・管理する」ことが本業で、コミュニティを活性化させるということには不慣れでした。それでも関係会社や入居者の皆様のサポートによって徐々に形にすることができています。このノウハウをいかに組織として継承し、今後のプロジェクトへ展開していくかが大きな課題だと感じています。
数年間同じメンバーが同じ熱量で伴走し、地域の皆さんや行政との対話を重ねてつくり上げた千里藤白台のプロジェクト。ただ家を建てて売るだけではない、住まう人の日々の生活の舞台となる「自走する街」を。エスコンが大切にしているまちづくりの想いは、これからもこの街に暮らす人々の笑顔とともに、次の50年、100年の未来へと確かに受け継がれていきます。

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TSUNAGU GARDEN千里藤白台プロジェクトムービー
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