一度は「建て替え」と宣告された築80年の木造校舎を未来へ。施工を任された吉住工務店が歩んだ道のり。

兵庫県丹波市を拠点に、長年地域に根ざした建築に携わってきた吉住工務店。

吉住工務店は、注文住宅の設計・施工に加え、中・大規模の非住宅建築物やマンションリノベーションといった事業を手掛けております。多様化するニーズにお応えするため、近年は特に非住宅分野やリノベーション事業へ力を入れております。注文住宅のご依頼やアフターフォローにつきましても、引き続き真摯に取り組んでまいります。


住宅建築で培った確かな技術とノウハウが評価され、現在では学校や保育園、病院、公共施設など、地域を支える幅広い建物の設計・施工をお任せいただいております。


私たちが施工を担当した「西脇市立西脇小学校」の校舎保存・改修プロジェクトが、「グッドデザイン賞2020」「ウッドデザイン賞2020 優秀賞(林野庁長官賞)」「第30回BELCA賞 ロングライフ部門」「人間サイズのまちづくり賞2020 知事賞」という数々の栄誉ある賞をいただきました。


築80年を超え、一度は取り壊しの危機にあった大規模な木造校舎が、なぜこれほどの高い評価を得て現代によみがえったのか。そこには、相反する難題に挑んだ泥臭い試行錯誤と、建物を愛する人々の熱い想いがありました。



今回は、そのプロジェクトの裏側にあったストーリーをお届けします。


取り壊しか、保存か。相反する難題に直面したプロジェクトの幕開け

西脇小学校の3棟の木造校舎は、昭和初期に当時の年間予算に匹敵する巨費を投じて建てられ、地域の象徴として市民に愛されてきました。しかし、老朽化と耐震性能の不足から、2012年に一度は「建て替え計画」が発表され、取り壊しが決まりかけました。


その時、卒業生や市民から「私たちの記憶の器である校舎を残してほしい」という強い要望が上がり、計画は奇跡的に白紙に戻ります。しかし、そこからが本当の試練の始まりでした。


直面したのは、「歴史的建造物としての空間と価値を維持する」ことと、「現代に求められる安全性や教育環境(バリアフリー化、IT化など)を確保する」という、相反する難題です。さらに、子どもたちの学びを止めないよう学校を使いながらの「居ながら工事」で行う必要があり、仮設校舎を最低限に抑えてコストを削減するという極めて厳しい条件も課せられていました。


このプロジェクトには、保存改修のスペシャリストである神戸大学の小林教授が陣頭指揮をとられました。

歴史的建造物を後世に残すための学術的見地と、施工会社としての実務的視点。互いに目指すゴールが同じでも、時に両者のアプローチが異なることもありましたが、設計図の変更や細部へのこだわりを一つひとつ丁寧にすり合わせました。


この過程で生じた多くの調整こそが、単なる建築工事ではない「文化財の継承」という深い意義を形にするための重要なプロセスとなりました。



英知を結集し、泥臭く「記憶の器」を守り抜く


耐震補強による安全安心を確保しながらも、スロープやエレベーターを新設し、インクルーシブな環境を整える。文化財としての価値を損なわないよう、小林教授の指導の下、各所の色彩調査を行って丁寧な復元を試み、屋根を当時の雰囲気に近い金属瓦に変更するなど、意匠・構造・環境工学の英知を結集しました。


また、現場は常に困難と隣り合わせでした。子どもたちのすぐそばで行う「居ながら工事」は、騒音対策や安全確保に細心の注意を払い、常に張り詰めた緊張感を強いられます。それでも私たちは、ワークショップやアンケート調査、市民へのプレゼンテーションを通じ、地域の方々と対話を重ねて理解を深めていただきながら、泥臭く、着実に工事を前へ進めていきました。


学校という学びの場を守るため、工事スケジュールには細心の注意を払いました。

大きな音を伴う作業は休日や長期休暇中に集中させ、参観日や運動会といった学校行事のスケジュールを最優先に。教育活動に一切の支障をきたさないよう、作業内容を常に柔軟に切り替える徹底した工程管理を行いました。


また、建設会社である前に地域の一員として、現場作業員一人ひとりが子どもたちへの挨拶や見守りも欠かせません。安全性はもちろんのこと、学校生活の雰囲気を大切にする姿勢を常に心がけていました。



社是「真実一路」。誠実な積み重ねが未来を創る

数々の困難を乗り越え、無事に改修を終えた校舎に子どもたちの明るく元気な声が再び響き渡ったとき、私たちのすべての苦労は報われました。


「古いものを壊して新しく斬新なものを作るということだけがデザインではない」。グッドデザイン賞の審査員の方からいただいたこの評価は、私たちの胸に深く刻まれています。


現場には数千点もの部材があり、それぞれが建物の歴史を物語る大切なピースです。外した部材は一つひとつ分類・保管し、記録と照合を徹底しました。

時には学術的な検証のため、保存部材の所在を瞬時に提示する必要もあり、極めて高い緊張感の中での管理が求められました。


改修を終えた校舎に子どもたちが戻ってきた際、ある児童が発した「何も変わっていないね」という言葉。それは、私たちがもっとも聞きたかった最高の賛辞でした。

古き良き空間を維持しながら、現代のニーズを満たす。その矛盾した要求をクリアし、子どもたちに違和感なく日常を届けられたことこそが、私たちが目指した真の「保存」の形であったと確信しています。

また、当時と変わらぬ姿で美しく保存されたこの校舎は、過去の情景を現代で撮影できる貴重な建物として、現在は映画やドラマの撮影などにも広く活用されています。 



吉住工務店には、創業時から受け継がれる「真実一路」という社是と、「当たり前のことを毎日きっちり積み重ねる」という教えがあります。どんなに難易度の高いプロジェクトであっても、規模や内容に関わらず、一つひとつの仕事に丹精を込めて向き合う。その誠実な姿勢があったからこそ、この歴史的プロジェクトを成し遂げることができたと確信しています。


私たちはこの誇りある経験を糧に、「スクラップ&ビルドからストック活用へ」と歩みを進めます。歴史的建築の保存や、環境に配慮した「建物の木造化・木質化」を積極的に推進し、これからも変わらぬ技術と情熱で、持続可能な社会に貢献してまいります。






行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

17日付の紙面はこちら

アクセスランキング 19:42集計

サイエンスフェス2026

大分県の天気

今日 9月17日(

晴れ後時々曇り晴れ後曇り
気温 28℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 0% 0%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 9月17日(

曇り曇り
気温 28℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 10% 20%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 9月17日(

晴れ後時々曇り晴れ後曇り
気温 29℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 0% 0%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況

今日 9月17日(

曇り曇り
気温 31℃ -
時間 0-6 6-12 12-18 18-24
降水 - 0% 10% 10%
警報
発表なし
注意報
発表なし
気象状況
PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ

PR