「他人事」から「自分事」へ。社会的養護の隙間で孤立する若者のため、行政陳情を経てNPO設立へ挑んだ葛藤と歩み
■ 「助けて」と言えない若者たちが抱える、制度の狭間の孤独
社会的養護(児童養護施設や里親環境など)を経験した若者や、さまざまな家庭事情から家族を頼ることができない若者たちが社会に出ていく際、最初に直面するのが「18歳の壁」と呼ばれる制度の狭間です。原則として18歳(あるいは高校卒業)を迎えると支援の枠組みから外れ、十分な準備や頼れる大人が誰もいないまま、一人で社会へ放り出されてしまいます。
役所での複雑な手続きの進め方が分からない、賃貸契約の保証人がいなくて住む場所すら借りられない、社会に出て悪質なトラブルや詐欺に遭っても相談できる相手がいない——。そんな声にならない SOS を抱え、誰にも気づかれないまま地域の中で孤立していく若者たちが今も数多く存在しています。
一度つ立ち止まったり、失敗したりした時に「戻れる場所」がないこと。それこそが、彼らが抱える孤独の本質であり、社会全体で向き合うべき課題でした。
■ 行政陳情から始まった。「自分たちの声」を届けるための泥臭い一歩
「社会に足りない制度があるのなら、指をくわえて待つのではなく、自分たちの手で声を届けるしかない」
その思いから始まったのが、自治体や行政機関への陳情活動でした。しかし、その歩みは決して順風満帆ではありませんでした。当事者や支援者として声を上げ始めた当初は、「本当に自分たちの声が届くのだろうか」「自分たちの小さなお願いに意味はあるのか」という強い葛藤や不安が常に付きまとっていました。時に厳しい反応や無理解にぶつかり、悔しい思いをすることも一度や二度ではありませんでした。
それでも、現場で見てきた若者たちの切実な顔を思い浮かべながら、泥臭く資料を作成し、地道に対話を重ね続けました。準備作業を一つひとつ手作業で進めていく中で、関わってくれる周囲の意識に少しずつ変化が生まれ始めます。それまで「よく分からない遠い世界の問題」として片付けられがちだった社会的養護経験者の課題が、対話を重ねるごとに「この地域で解決すべき自分たちの課題」として捉え直されていきました。
「他人事」だった問題が、少しずつ「自分事」として地域に広がっていく手応えを得たこと——。これこそが、私たちがNPO法人として立ち上がる決定的な背中を押してくれたのです。
■ 「居場所」だけでは終わらない。「伴走」と「自立」を一体で支える取り組み
長年の陳情や設立準備のプロセスを経て見えてきたのは、単に「集まれる場所」を用意するだけでは、彼らの人生の根本的な解決にはならないという厳しい現実でした。居場所で心を休めることと同じくらい、社会で生きていくための「実戦的なスキル」と「伴走者」が必要だったのです。
NPO法人支エールでは、こうした経験と当事者視点に基づき、以下の3つの柱で多角的な支援を展開しています。
・地域とつながる安心の居場所づくり(健康麻雀ひろば等)
単なる支援の提供にとどまらず、多世代の地域住民と自然な形で交流できる場を
作っています。ボードゲームや麻雀などを通じたゆるやかな繋がりが、若者にとって
の「実家のような安全基地」となります。
・社会的トラブルから身を守る予防教育講座
行政書士などの専門家とタッグを組み、スマホの利用規約、賃貸契約、闇バイトや
詐欺の危険性など、社会に出てすぐにぶつかる契約トラブルを防ぐための実践講座を
定期開催しています。
・「住まいスタート応援事業」による初期負担の軽減
自立の最大のハードルである「住居の確保」に対し、初期費用の助成や保証人問題の
サポートを行い、安心して新生活をスタートできる環境を整えています。
■ 北九州市から、誰もが「何度でもやり直せる」社会へ
一度の失敗や挫折で社会との繋がりが絶たれてしまう構造を変えたい。「失敗しても大丈夫、またここからやり直せばいい」と思える安心感があって初めて、若者は自分の足で未来へと歩み始めることができます。
NPO法人支エールは、これからも現場での一つひとつの対話を大切に重ねながら、制度の隙間で孤立する若者が一人もいなくなる社会を目指し、北九州の地から地域とともに歩み続けていきます。
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■ NPO法人支エールについて
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当団体の具体的な取り組みや、支援に関するご相談・お問い合わせは下記公式ウェブサイト・SNSよりご覧いただけます。

▼ 公式ウェブサイト
https://sasaelle.pages.dev/
▼ 主な取り組み・活動内容
・若者のための居場所づくり(健康麻雀ひろば等)
・契約トラブルを防ぐ「予防教育講座」
・自立に向けた「住まいスタート応援事業」
「支援を受けたい」「活動を応援・協力したい」など、お気軽にお問い合わせください。
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