九州2位の「ものづくり県」が描く大分経済の未来。なぜ今、大分県庁は「売上高100億円企業」の創出に本気で挑むのか。

中小企業庁が「100億宣言」の施策を打ち出すなど、今、地域経済の牽引役として「売上高100億円企業」への注目が高まっています。
こうした全国的な動きのなかで、大分県も、県内の中堅・中小企業の成長を後押しする取り組みに力を入れています。
九州屈指の「ものづくり県」でありながら、人口減少の波に直面する大分県。なぜ今、大分県は「売上高100億円企業」の創出に取り組むのでしょうか。
今回は、大分県庁の担当者である濱口さんに、その背景にある危機感や県内企業への期待、そして企業が次の成長ステージへ進むための具体的な支援策についてお話を伺いました。
なぜ今「売上高100億円企業の創出」なのか? 人口減少の危機感と、大分県が持つ「九州2位」の強み
中野:
まずは、大分県の売上高100億円企業への想いについて教えてください。
全国的にも地域経済を牽引する中堅企業の育成が注目されています。大分県でも「売上高100億円」という明確な目標を掲げ、県内企業の支援に取り組まれていますが、なぜ今、このテーマに力を入れているのでしょうか。
濱口:
大分県が今、100億円企業の創出に力を入れている理由は、大きく2つあります。
1つ目は、地域を取り巻く環境が大きく変わっていることです。
全国共通の課題ではありますが、大分県でも人口減少が進んでいます。それに伴い企業活動の担い手となる働く世代も減っていく見通しのため、これまでと同じ延長線上では地域経済を維持していくこと自体が難しくなってきています。
もう1つは、大分県には次の成長を支える強い産業基盤があることです。
大分県は、県内総生産の約3割を製造業だけで占めていて、これは福岡県に次ぐ九州2位の数字です。つまり大分県は、もともと、ものづくりを中心に県外から稼ぐ力を持った地域だということです。
だからこそ私たちは、この強みを一部の企業のみに留めるのではなく、より多くの県内企業が次の成長ステージへ進めるようにしたいと考えています。
100億企業は魅力的な就職先の創出と地域経済の未来を支える土台作り。企業の挑戦を継続的に支えていく施策を目指した
中野:
人口減少という課題がある一方で、大分県には、地域を牽引できる産業基盤がある。その強みを生かして、「売上高100億円企業」の創出を目指しているということですね。
濱口:
はい。
売上高100億円企業の規模に成長していくことで、雇用の拡大はもちろん、賃上げや設備投資、地域企業との取引拡大など、地域への波及効果が大きくなります。
さらに若い世代にとっても、「大分にも挑戦できる企業がある」「地元に残ってキャリアを続ける」と感じられるような、魅力的な選択肢が増えていくはずです。
そうした企業を一社でも多く増やしていくことで、大分県の産業全体を底上げし、地域の未来を支える土台をつくっていきたいと考えています。
中野:
単に企業の規模を大きくするということではなく、その先にある大分県全体の未来を見据えた取り組みなのですね。
濱口:
はい、その通りです。
そのため今回の取り組みも、単に知識を共有するだけのセミナーで終わらせるつもりはありません。
県内には、技術力や商品力、独自の強みなど、高い成長ポテンシャルを持つ企業が数多くあります。
一方で、人材確保や販路開拓、投資判断、組織づくりなど、次の成長ステージへ進むための「次の壁」に直面し、突破口を見つけられずにいる企業も少なくありません。
そうした企業の皆様に対して、県として成長のきっかけを提供し、同じ志を持つ経営者同士がつながり、学び合い、刺激し合う場を作ります。
今回のセミナーはその第一歩として、この場限りではなく、企業の皆さまの挑戦を継続的に支えていく施策につなげていきたいと考えています。
企業の次の成長ステージへ。大分県が提供する、経営計画の実行から組織力強化までを支える手厚い支援制度と伴走支援型の支援体制
中野:
ここからは、大分県が実際に行っている企業成長支援について教えてください。
県としての思いは理解できても、経営者の立場からすると、「具体的に、県はどのような支援をしてくれるのだろう」と気になる方も多いと思います。
現場で活用できる支援策について、詳しく教えていただけますか。
濱口:
はい。具体的には「大分県地域企業創出事業」という支援を行っています。
この事業には、大きく2つの特徴があります。
1つ目は、成長に必要な投資を後押しする補助金です。
高度人材の確保や組織力の強化、商品・サービスの競争力向上に加えて、生産性や品質向上に向けた設備投資まで、企業の成長戦略に応じて幅広く活用できます。
補助限度額は1社あたり最大5,000万円です。
もう1つの大きな特徴が、補助金だけでは終わらない伴走型の支援です。
県が委託する外部専門機関が、情報提供や助言、定期的なフォローを行いながら、中期経営計画の実行を継続的に後押ししていきます。
今年度の募集は終了していますが、今回のセミナーで自社の現状を整理し、成長戦略を具体化することで、来年度以降の制度活用につなげていただければと思っています。
中野:
経営者の方とお話ししていると、「使える制度があることをそもそも知らなかった」とか「申請のハードルが高そうだな」といった声もよく聞きます。ですが、ここまで手厚い環境が整っているのであれば、ぜひ多くの企業に活用していただきたいですね。
濱口:
はい。「うちの規模でも使えるかな」と迷われている方にこそ、まずは県の相談窓口や今回のセミナーを活用して知っていただければと思っています。
制度活用は“最初の1歩”に過ぎない。「中堅・100億企業創出セミナー」をきっかけに継続して経営者同士が高め合う経営者ネットワーク構築へ
中野:
公的な支援制度という強いバックアップがあることについては分かりました。
ただ、補助金や制度を活用するだけでは、なかなか売上高100億円という壁を突破するのは難しいと思うのですが、いかがでしょうか。
濱口:
おっしゃる通りです。
制度を活用いただくのは、あくまで成長のための最初の1歩に過ぎません。
そこから実際に売上高100億円規模にしていくためには、自社の強みをどう伸ばしていくのか、どんな投資をしていくのかといった、具体的な戦略が欠かせません。
また、その挑戦を続けていくためには、同じ志を持った経営者同士が出会い、学び合い、刺激を受けながら前に進める環境も重要です。
だからこそ今回、実践的な成長戦略を学び、高い目標を持つ仲間と繋がる機会として「中堅・100億企業創出セミナー」を開催することにしました。
中野:
ありがとうございます。我々としても、大分県の経営者の皆さまの成長を全力でサポートしてまいります。
挑戦する大分の経営者へ——大分の未来を拓く「次代のリーダー企業」が集う場所へ
中野:
最後に大分県の経営者、経営幹部の皆さまへメッセージをお願いします。
濱口:
大分県には高い技術や独自の強みを持ち、さらに大きく成長できる可能性を秘めた企業が数多くあります。
一方で、次の成長ステージへ進むためには、経営戦略、人材戦略、投資判断など、乗り越えるべき壁も少なくありません。
県としても、今回のセミナーをきっかけに、参加される皆様が繋がり、学び合い、高みを目指していけるよう、しっかりと後押しをしていきたいと考えています。
ぜひ会場で多くの経営者、経営幹部の皆さまとお会いできることを楽しみにしています。
中野:
ありがとうございます。
挑戦する経営者の皆さまには、ぜひご参加いただければと思います。
本日はありがとうございました。それでは、会場でお会いしましょう。
インタビュアー:中堅・100億企業創出セミナー運営事務局、株式会社船井総合研究所 中野
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