創業85年の建設会社が、“作業着”を変えた理由 採用活動で出会った学生や社員の声を反映し、“誇りを持って着られる一着”へ。愛知・異業種3社で挑んだ「WORK PRIDE PROJECT」

【左から、株式会社YRS 井藤大三さん、木村工業株式会社 木村謙太、ダイキョーオータ株式会社 太田治輝さん】


【2026年5月より導入した、新ユニフォーム】



2026年5月、創業85年を迎えた木村工業株式会社の作業着が大きく変わりました。

従来のいわゆる「THE 作業着」から、スポーティーでスタイリッシュな印象のオリジナル作業着へ。きっかけのひとつとなったのは、採用活動の中で学生から聞いた「格好いい作業着で働きたい」という声でした。


毎日身につけるものだからこそ、社員が誇りを持って着られる作業着にしたい。


その実現に向けてタッグを組んだのが、オーダースーツや白衣などを手掛ける株式会社YRSと、ユニフォームの企画・製造を行うダイキョーオータ株式会社です。建設、アパレル、ユニフォーム製造という異なる領域の愛知県3社による「WORK PRIDE PROJECT」を始動しました。


今回は、木村工業株式会社 代表取締役 木村謙太、株式会社YRS 代表取締役 井藤大三さん、ダイキョーオータ株式会社 専務取締役 太田治輝さんとともに、プロジェクトが生まれた背景や開発の舞台裏、そして作業着から見えてきた「働く人の装い」の可能性を振り返ります。


「君はこれを35年間着てください」と言われたら、結構しんどいよね

――そもそも、作業着を変えようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。


木村:

僕自身、もともと建設業界ではないところからこの業界に入ってきたんです。既製品の作業着を着てみると、他社を見ても似たようなものが多く、あまり個性がない。「もっと自分たちらしさを出せないかな」という思いが以前からありました。

当時の弊社の作業着も、言ってしまえばすごく“今っぽくない”作業着で(笑)。コストや「汚れてもいい」ということだけを考えれば、そのままでもよかったのかもしれません。

でも、採用活動の中で学生さんから「格好いい作業着で働きたい」という声を聞いて、新卒で入社した人に「君はこれを35年間着てください」と言ったら、結構しんどいよねって思ったんです。


井藤さん:

建設業界には、俗にいう「3K」というイメージがありますよね。でも、その中の「汚い」のKは、ユニフォームから「かっこいい」に変えていくこともできるんじゃないかと思うんです。


木村:

まずは自分たちで変えられるところから変えていこう、と。一度、既製品の中から今っぽいものに変えたこともありました。でも「これだ」と思えるものには出会えず、いつか完全オリジナルにしたいと思っていました。


【従来の作業着】

中高時代の同級生への「ダメ元の一本の電話」から始まった

ゼロからオリジナルの作業着をつくるため、これまでにもさまざまなメーカーや工場へ相談してきました。しかし、ロット数やコスト、デザインなどの条件が合わず、なかなか実現には至りませんでした。


そんなとき木村が相談したのが、中学・高校時代の同級生だったYRSの井藤さんでした。


木村:

共通の友人から「井藤さん、白衣のオーダーもやっているよ」という話を聞いたんです。「ダメ元で一回聞いてみよう」と。久しぶりに突然電話しました(笑)。


井藤さん:

久しぶりでしたね(笑)。

話を聞いて、木村さんがやりたいことを実現するには、ロットや価格の問題も含めて、しっかりものづくりができる工場と組まないと難しいと思いました。そこで頭に浮かんだのが、ダイキョーオータの太田さんでした。


太田さん:

最初にお話を聞いたとき、採用に力を入れたいということだけでなく、木村さんの従業員の皆さんへの思いがすごく伝わってきたんです。それが印象に残り、今回参加させていただきました。



――今回の3社のつながりには、名古屋・愛知ならではの地域性もあったのでしょうか。


井藤さん:

もともとの関係性があったことに加えて、同年代ということもあって進めやすかったですね。愛知には、あまり表には出ていなくても、実は高い技術やものづくりの力を持っている会社がたくさんあります。太田さんの会社も、まさにそうだと思います。


太田さん:

いえいえ。


木村:

でも、そういう会社は愛知には多いと思います。知り合いを通じて「こんな会社があるよ」と紹介し合ったり、そこからまた新しいつながりが生まれたりするのは、愛知らしさなのかもしれません。大手のものづくり企業だけでなく、その周りにもさまざまなBtoB企業があって、普段はなかなか表から見えない会社も多いんですよね。


3社で挑んだ、ゼロからの作業着づくり

プロジェクトでは、完成までに3度の試作を実施。木村工業の社員にも実際に試着してもらい、現場から出た意見を反映しながら改良を重ねていきました。


木村:

僕は本当にわがままを言いたい放題で(笑)。「これはどうですか?」「こんな風にできますか?」と、いろいろお願いしました。

例えば、上着の裾の仕様や丈を調整したり、生地が薄く見えないよう工夫してもらったり。実際に着たときの見え方まで、細かく調整していきました。


井藤さん:

僕らは普段オーダースーツを手掛けているので、「人が着たときにどう見えるか」という視点は生かせたと思います。スーツは構造が複雑なので、「ここを変えても全体のシルエットには影響しない」「ここは残さないと、だらしなく見える」といった判断ができます。

機能や製造だけでなく、仕事服にスーツの知見やデザイナーとしての感性をどう落とし込むか。それが今回の自分の役割だったと思います。


太田さん:

井藤さんの仕立ての知見は、僕自身も勉強になることが多かったですね。通常、完全オリジナルの作業着をつくるには最低でも1年程度かかることがあります。今回は井藤さんが間に入ってくださったことと、木村さんの決断が早かったこともあって、比較的スムーズに進みました。


3社が目指したのは、見た目の格好よさと、現場での使いやすさを両立した作業着。


一般的な作業着ではあまり使われないスポーティーな印象の素材を選び、ポケットやパンツのサイズ感まで細かく調整。一時は「スーツのように見える作業着」という案もありましたが、現場での動きやすさを優先し、現在の形にたどり着きました。



【3度の試作を経て完成した、木村工業のユニフォーム】


井藤さん:

僕は、木村工業さんに合う作業着は、これまであまりなかったんじゃないかと思っています。例えば土木の現場では、丈夫さや汚れにくさなど、機能性が重視されます。

一方、木村工業さんの場合は、現場での動きやすさに加えて、人と接するときにどう見えるかも大切です。今回つくったようなユニフォームが、そうした仕事における新しいスタンダードになっていったら面白いですよね。


「ついにオリジナルまで来ましたか!」社員の反応から見えたもの

完成した作業着を社員に披露すると、「おお!」という声が上がるなど、社内からも好意的な反応がありました。


木村:

「ついにオリジナルまで来ましたか!」と言ってくれた社員もいました(笑)。「自分たちの会社は一味違うんだ」と感じてもらうきっかけにもなったのかなと思います。

実際に着ている姿も、本当に格好よくなりました。今回はサイズを細かく設定してもらったので、それぞれの体型に合って、みんなシュッとして見えるんです。


太田さん:

ユニフォームが変わることは、社員の方にとっても「会社が自分たちのことを考えてくれている」と感じるきっかけになると思います。こういう毎日身につけるものにも、会社の姿勢は表れるんじゃないでしょうか。


井藤さん:

まさに、プライドの醸成ですよね。同じユニフォームを着ることで仲間意識が生まれたり、仕事に向かう気持ちが変わったりする。「何を着て働くか」は、思っている以上に仕事への気持ちに影響するものだと思います。


作業着は、社外から見た「会社の顔」でもある

作業着は、社員が毎日着るものであると同時に、採用活動などを通じて社外からも見られるもの。木村工業では現在、中途採用を含め、採用への応募が増えています。


木村:

応募自体は増えています。中途採用の方だと、選考の前に「社員の方に会ってみたい」と言われることもあるんです。そういうときも、今は自信を持って社員に会っていただいています。


井藤さん:

企業に興味を持ったら、まずホームページやSNSで「どんな人が働いているんだろう」と調べますよね。そうすると、働いている人のユニフォーム姿も自然と目に入ります。ユニフォームを単なるコストとしてではなく、採用という視点まで含めて考えると、その役割はもっと広がるのではないかと思っています。


太田さん:

学校を選ぶときに、「あの学校の制服はかっこいい、かわいい」と憧れることがありますよね。企業も同じで、働く人の姿も「この会社で働いてみたい」と思ってもらう入り口の一つになると思います。


作業着から始まった「WORK PRIDE PROJECT」を、次へ

今回完成した作業着も、これが完成形ではありません。すでに腕につけた会社ロゴの改善案も上がるなど、次回の製作に向けた検討が始まっています。


木村:

次はボタンダウンシャツもお願いしたいなと思っています。ただ、シャツはもっと汚れるので、買い替えの頻度も考えながらですが(笑)。


井藤さん:

弊社には、「働く人の装いから、モチベーションを上げる」という一つの軸があります。スーツも白衣も、そして今回の作業着も、すべて働く人が身につけるものです。今回のプロジェクトを通じて、改めてその可能性を感じました。これからも「働く人の装い」という視点から、一緒にできることを考えていけたらと思っています。


太田さん:

私たちは縫製メーカーなので、普段はユーザー企業の声を直接聞ける機会はそれほど多くありません。今回は、木村工業さんの課題を直接聞きながらものづくりができたことが、とても面白い経験でした。今後も、こうした形で企業の課題解決につなげていけたらと思っています。



――作業着を変えることから始まった「WORK PRIDE PROJECT」。

そのゴールは、ただ格好いい服をつくることではありません。


木村:

現場で仕事をしていれば、作業着は当然汚れます。だからこそ、必要なときには気兼ねなく新しいものを注文してほしいと社員には伝えています。

毎日着るものだからこそ、社員には自分たちが気持ちよく着られる作業着で働いてほしい。そして何より、自分たちの仕事にプライドを持って働いてほしいと思っています。



〈本件に関するリリース〉

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000148605.html


〈プロジェクト参加企業について〉

・株式会社YRS

名古屋市瑞穂区に本社を構えるアパレル企業。オーダースーツ事業を中心に、近年は医療・介護業界向け白衣事業も展開。働く人のモチベーション向上につながる装いづくりを提案している。

https://yrs-yamayo.co.jp/


・ダイキョーオータ株式会社

名古屋市中川区に本社を構える帽子・ユニフォームメーカー。多様な業界向けのOEM製品を手掛けるほか、企業ユニフォームの企画・製作も行っている。

https://www.daikyo-ohta.co.jp/


〈木村工業株式会社について〉

時を塗り重ね、建物という資源を未来へ。  

木村工業株式会社は、昭和15年に塗装屋として創業し、以来80年以上にわたり建築改修工事の分野で確かな技術と信頼を築いてまいりました。現在、愛知県名古屋市を拠点に事業内容を変革し、ビル・マンションの大規模修繕工事一式をはじめ、特殊塗装、防水工事、耐震補強、内装リフォームなど、幅広い施工を手がけています。

所在地:愛知県名古屋市中区千代田五丁目20-3-2

TEL:052-241-1321

HP:https://www.kimura1940.co.jp/













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