「目下の課題はワークライフバランスの調整」と話す中山正剛さん
「生きがいや仲間づくり、健康増進など。スポーツは人々を幸せにするための大きなツールになる」。大学における体育授業の意義や中学校の部活動を対象にした新たなアプローチによる指導法を研究。人材育成を通して地域づくりを支えている。
若年層の体力低下や運動ができる子とできない子の二極化が課題となっている。健康で安全に生きるために必要な身体能力や知識などを身に付ける体育の授業は、高校まで必修化されているが、大学では選択科目となっている所もある。
「体育には社会人として必要なコミュニケーション能力や協調性、問題解決力を高める効果がある」と語る。学生自身が「主体性を持つ」「計画力を高める」といった目標を設定し、日常生活にも運動を取り入れる授業を実践。体力だけでなく、社会人基礎力を学生たちに身に付けてもらいながら、体育授業の復権、活性化を目指している。
自身は大学を卒業するまで「野球一筋」だったが、「頭ごなしの指導法には疑問を持ってきた」と話す。
県内の中学野球部では監督からの押し付けではなく、選手が主体的な運営をする体制が有効かを調査。選手たちで練習内容や目標を考え、試合後に達成点や課題を記入するシートを作って振り返るなどの活動を取り入れた。当初、慣れない指導法に監督には戸惑いがみられたが、選手の人間力だけではなく競技力も向上したという。複数のチームから依頼があり、今後も調査を続ける方針だ。
「誰のために、何を目的にスポーツをするかを考えることが一番大切。そうすることでより効果的に楽しむことができる」と力を込める。研究を深めながら、“スポーツの力”を幅広く伝えていくことを目指している。