ホームゲームでは大分トリニータのマスコット・ニータンに付き添うことが多い吉門恵美さん(右)。サポーターから「ニータンのお姉さん」と呼ばれることも
新たな配属先はソーシャルアクション室。大分トリニータを運営する大分フットボールクラブは2019年1月、同室を設置し、企画広報室から異動した。地域の課題をスポーツで解決する、他団体と連携してスポーツ振興を目指す。
来場者に非日常的空間を楽しんでもらいたいと、昨シーズンからホームゲームで始めた「ニータンパーク」の企画・運営に携わった。「アウェーのお客さんが楽しめる場所が少ない」とのサポーターの声がきっかけとなった取り組み。カフェやキッチンカーのグルメゾーン、県内で活動するミュージシャンのライブに加え、障害者スポーツの体験コーナーもつくった。来場者に好評を博し、2019年はさらにパワーアップさせたいと意気込む。
「これまでいろいろと心配を掛けてきました。応援してくれる皆さんに恩返しがしたいと常に考えています」と話す。入社13年目。クラブの浮き沈みを経験してきた。
経営危機が表面化した2009年、チームはJ2に降格した。当時は営業部門で約100社のスポンサーを担当していた。訪問先で「お互い頑張らんとな」「成績は関係ない。応援するよ」と励ましの言葉をもらい、担当だった企業のほとんどが契約を継続してくれたという。「絶対にトリニータをなくしてはいけない。気が引き締まりました」
県民からJ1昇格支援金を募ったのは12年だった。「昇格できなかったら支援してくれたみんなの思いはどうなるんだろうと、ずっと考えていました」。昇格プレーオフを制した瞬間、ゲームを見守っていたスポンサーと一緒に泣いた。
2019年は6季ぶりのJ1が舞台。だからこそ、これまで以上に県民に身近に感じてもらいたい―。襟を正して新たな仕事に挑む。
する、みる、ささえる―。子どもから高齢者、障害がある人もない人もそれぞれの形で関わることができるスポーツ。人々に生きがいを与え、絆を育む。経済効果や雇用を生み出すことも。地域を元気にする手段としてのスポーツの力とは。ミライデザイン宣言「ハピカム」第4回「スポーツは地域を沸かす」に出演する5人を紹介する。