絵本「てをあげておうだんほどうをわたりましょう!」を作った竹山明里さん(中央)。交通指導員の両親と竹田市役所を訪れて200冊を寄贈した=竹田市会々
【大分・竹田】交通事故で兄を失った大分市野津原小3年の竹山明里(ひかり)さん(8)が交通安全の絵本「てをあげておうだんほどうをわたりましょう!」を作った。自身の体験や兄を題材に事故の根絶を呼びかけるもので「命の大切さ、交通安全の願いを子どもから大人まで伝えたい」と話した。
明里さんの兄・沓里(かずさと)ちゃん=当時(4)=は10年前、自宅前の道路を横断していた際、車にはねられて亡くなった。事故の悲しみから、家族は交通安全運動に力を注ぐ。父の武志さん、母の文(あや)さんは交通指導員を務めるとともに「沓里KAZUSATO 交通事故ゼロを目指す会」を立ち上げて啓発活動を続ける。
絵本はA4サイズの28ページ。本年度に入って制作を始め、明里さんが1年時に警察庁の交通安全ファミリー作文コンクールで交通局長賞に選ばれた作文に、自ら描いた絵を付けた。
高スピードの車の怖さ、よそ見をする運転者の多さ、横断歩道を渡ろうとしても止まらない車、車同士の衝突事故…。明里さんが見た出来事が描かれている。沓里ちゃんの事故に触れ、「あいたかったのにおにいちゃんにはあえません。かわいそうです。しんだらもどらない。かなしいです」とつづった。最後に「おこさずあわずじこゼロに!」と呼びかけた。
兄・弦伸さんが中学3年時に書いた作文も掲載。弟の事故を振り返り「(事故は)いつ、誰が、どこで起こすかなんてわかりません。そして誰が被害者になるのかもわかりません」と訴える。
絵本は約5千部制作し、知人らに配っている。8日には明里さんと両親が竹田市役所を訪問。武志さんと交流がある土居昌弘市長に200冊を託した。両親は「彼女の思いが詰まった絵本になった」と話し、市は市内の小中学校などへの配布を検討している。