コースを走る計測員。先頭が苅込英昭さん=28日午前、大分市王子港町
11月に第45回大会を迎える大分国際車いすマラソンで、実行委員会が大幅なコース変更を計画している。スタート、フィニッシュ地点を大分市寿町の大分県立美術館前に移し、県道大在大分港線(通称40メートル道路)の直線を往復する回数を増やす抜本的なものだ。変更に当たり、国際クラスの資格を持つ道路コースの計測員が28日、現地を検定した。現在、有資格者は国内に4人だけ。一体どんな仕事をしているのか。世界記録や日本記録の土台となる「42・195キロ」をつくる過程を追った。
車の通りがまだ少ない午前4時半ごろ。県立美術館前に、国際資格を持つ苅込英昭さん(64)と、日本陸上競技連盟公認の計測員2人の乗る自転車3台が縦に連なった。大会関係者の車両と県警のパトカーに前後を挟まれる形で、先頭に立つ苅込さんがペダルを踏み込んだ。コース検定が静かに始まった。
前輪には「ジョーンズ・カウンター」と呼ばれる計測器が取り付けられている。現地に入る30分ほど前には、「基準区間」と定めた近くの400メートル区間を2~3往復しており、カウンターが正確な数値を示しているかを確認済みだ。
3人は約10メートル間隔を保つ。5キロごとに自転車を止め、ハンドル付近に取り付けたノートへ数字を書き込む。会話はほとんどない。確認するのはジョーンズ・カウンターの数値だけ。直線コースの西端になる、西大分の折り返し地点では距離を何度も確認。夜が明け、大型トラックなど行き交う車も増えてくるが、作業ペースを保つ。約2時間半後、コース東端になる家島橋手前の折り返しを経て、新コースの計測を終えた。
だが、これで業務完了ではなかった。苅込さんらは計測前に走った400メートル区間を再び往復。前後の数値を照合し、計測結果に問題がないか確認。コース上の修正をし、報告書をまとめ、講評まで終えたのは午後2時ごろ。走行距離は約30キロに及んだ。
国内各地の大会コースを計測してきた苅込さんは、5回目の検定をした大分国際車いすマラソンについて「関係者がきめ細かく準備してくれ、国内でも最もスムーズに計測できるコースの一つ」と話した。直線コースの往復は2回から3回になり、アップダウンも少なくなる。「コンディションが良ければ記録更新も期待できる」とみる。
世界記録や日本記録は、正確なコースがあって初めて認められる。計測を終え、ようやく笑顔を見せた苅込さんら3人。華やかなレースの舞台裏では、1メートルの誤差も許さない仕事が静かに続けられていた。