屋上広場へ続く階段に末永菜央さんが描いた作品「芽生えから空へ」
【大分】大分市府内町のトキハ本店の8階西エレベーター前の階段を、ヒマワリをモチーフに描いたポップな作品が彩っている。同市中心部で開催中の大分アートフェスティバル2025「回遊劇場w@nder」の一環。手がけた同市上野丘東の芸術緑丘高美術科3年の末永菜央さん(18)は「子どもには新しい発見を、大人には懐かしい思い出を呼び起こすような場所になればうれしい」と話している。
末永さんが、デザインの力で地域を元気にしたいと同校を通じて提案し、実現した。
踊り場までの12段に描かれているのは、空に向かって伸びる大きなヒマワリ。悩み、立ち止まってばかりの自身の姿を顧みながら「『ヒマワリのように一歩ずつ上を目指し上っていこう』そんな気持ちになってもらえたら」と思いを込めた。
1階案内所前の床にはヒマワリの茎や葉、花、テントウムシやチョウをリズミカルに配置した作品を展示。よく見ると、あみだくじになっている。色選びは試行錯誤した結果、人が最も美しいと思える緑色を基調とした。制作期間は約3カ月。同店と何度も打ち合わせを重ね「相手の要望に応える難しさと面白さを学んだ」と振り返る。
同店にとっては、若い世代と店をつなぐ試みでもある。担当者は「売り場が明るく華やかになった。階段の作品は回遊劇場が終わっても展示し、しばらくお客さまにもワクワクしてもらいたい」と話す。
末永さんは「百貨店の上品さや高級感の中に遊び心をしのばせた。将来は人と人がつながる場所や空間をデザインできるデザイナーになりたい」と夢を膨らませている。