佐藤裕一郎さんが自費出版した「祖母・傾の自然を歩く」総集編
【豊後大野】豊後大野市緒方町徳田の佐藤裕一郎さん(74)は、大分合同新聞で1997年5月から2002年9月まで連載した企画「祖母・傾の自然を歩く」総集編(A4判・58ページ)を発行した。地元研究者4人が珍しい動植物や地質、手つかずの原生林などを通じて豊かな自然を紹介する内容。佐藤さんは「祖母・傾をこよなく愛した人の足跡を感じ取ってほしい」と話した。
執筆したのは当時の旧大野郡在住の中学校理科教諭4人。藤沢信一さんは昆虫や動物、羽田野二男さんは植物、斉藤利夫さんは鳥やチョウ、佐藤さんは地質をそれぞれ担当した。
「原生林」「尾平鉱山」「観音滝」「ツキノワグマ」などのテーマで5年にわたり計58回掲載。めったに見ることができない国の特別天然記念物ニホンカモシカなど、地元在住の研究者として日頃から観察や調査してきた内容をまとめた人気企画だった。
佐藤さんが昔の書物を整理していて当時の新聞記事を見つけた。他の3人は既に他界していたため「先輩たちと一緒にまとめた貴重な記録を私がしっかりと残さないといけない」と思い立った。
切り抜きがすべてそろっていなかったため、大分合同新聞社から当時の新聞のコピーなどを取り寄せて自費で50部出版。市図書館や市内の小中学校、高校に配った。
佐藤さんは「多くの人に手に取ってもらい、生涯を懸けて山に向き合ってきた先生方と歩いてきた祖母・傾山系の自然の姿に触れてもらいたい」と話した。
一部は希望者にも配布する。問い合わせは佐藤さん(090-2518-4173)。