冊子を制作した「尾谷の車橋を守る会」の日野正富会長(右)と監修した日野鶴喜さん=由布市庄内町
【由布】由布市庄内町櫟木(いちぎ)の住民らでつくる「尾谷の車橋を守る会」(日野正富会長)は、地区に残る文化財や記念碑などについてまとめた冊子「櫟木の歴史散歩」(A4判55ページ)を発行した。
同会は、2020年の豪雨で被災した「オダニの車橋」(県指定有形文化財)の修理補修をきっかけに地域にある文化財の歴史的価値を再認識し、守っていこうと発足。地域の歴史を詳しく知らない住民も多いことから冊子で紹介することにした。
▽現存する市内の石橋で最も古いとされる「オダニの車橋」▽1895年に架けられた洋式アーチ型の石橋「阿南橋」(市指定有形文化財)▽明治時代に水路工事に尽力した津久井俊英の業績をたたえる石碑▽偶然発見された60万年前の立木状炭化木と火砕流跡(市指定有形文化財)―など九つをピックアップ。オールカラーで写真や資料を付けて分かりやすく解説した。
資料の提供や説明文は、監修も務めた「阿南荘歴史研究会」の日野鶴喜会長(80)=同町東長宝=に依頼。専門的にならず、誰もが読み進めやすいようにと守る会の会員と話し合いながら完成させたという。
鶴喜会長は「後世に残るものができ、努力したかいがあった」、正富会長(72)は「地域を見直すきっかけとなれば。今後も地域の宝を次世代に引き継いでいけるよう活動していきたい」と話している。非売品で市立図書館で閲覧・貸し出しができる。