研究会で「くす天空の輝き」について説明を受ける生産者ら=玖珠町岩室のくすまちメルサンホール
【玖珠】玖珠町で本年度から、衛星データを活用した「宇宙米」の生産が始まる。衛星を使って町全域の田んぼの状態を把握し土壌のサンプル調査データと照らし合わせたり、稲の生育管理などに利用。町内産の中から厳選した特上米を新ブランド「くす天空の輝き」として売り出す。
町農林課によると、土壌のサンプル調査で肥沃(ひよく)度などを解析すると、田植えの適期や肥料の必要量などが分かる。衛星で町全域の状態を把握して比べることでサンプルを取った田んぼ以外の土壌の特徴も分かり、品質アップに結び付くという。衛星データは、水を抜いたり収穫するタイミングをつかむのにも活用する。
同町を主産地とする県西部地区のひとめぼれは、日本穀物検定協会の食味ランキングで最高の特Aを4年連続で獲得。くす天空の輝きは、JAに出荷された町内産ひとめぼれの1等米で(1)粒厚2ミリ以上(2)玄米タンパク含有率6・3%以下―を認定する。ブランド名の「天空」は太陽や人工衛星、「輝き」は収穫期の稲の黄金色からイメージした。
宇宙米の生産を目指す研究会の初会合が3月中旬に町内岩室のくすまちメルサンホールであり、生産農家や県、町、JAおおいたの関係者ら約30人が参加。
宿利政和町長が「かなり厳しい基準を設けた。玖珠米の品質は既に高いが、もう一段階、上を目指していきましょう」とあいさつ。同課の担当者がブランド米の定義や条件、システムの開発業者が衛星データの具体的な活用法を説明した。参加者から「刈り取りの適期はどの程度の範囲で示されるのか」「品質を高めるための助言はもらえるのか」といった質問が出た。
同課は「玖珠米のさらなるブランド化と全体の底上げを図り、農家の所得向上につなげたい」と話した。
問い合わせは同課(0973-72-7164)。