炎を巡り、激しくせめぎ合うケベス(手前右)とトウバ=国東市国見町
【国東】奇祭として知られるケベス祭(国選択無形民俗文化財)が14日夜、国東市国見町櫛来の櫛来社(岩倉八幡社)であった。炎を巡って奇怪な木彫り面を着けたケベスとトウバが激しくやりとりする姿を楽しもうと、県内外から多くの参拝客が訪れた。
境内に積み上げたシダから高さ6メートルほどの炎が上がり、白装束のケベスと炎を守るトウバが登場。炎に飛び込もうとするケベスと、押しとどめようとするトウバがぶつかり合った。
神が乗り移ったとされるケベスが炎に入り、祭りは最高潮を迎えた。トウバが燃えるシダを差又(さすまた)に刺して火の粉をまき散らしながら境内を駆け巡ると、参拝客は悲鳴と歓声を上げて逃げ回った。
火の粉を浴びると無病息災になるとされる。国東町北江、会社員今冨香織さん(48)と娘の羽琉さん(13)=国東中2年=は「初めて来た。迫力がすごい」と驚いていた。
須磨長憘(ながよし)宮司(79)は「男衆を集めたり燃やすシダを準備したりするのが大変だが、しっかりと次の世代に伝えたい」と話した。