時速194キロ死亡事故の初公判の期日を決めた大分地裁=大分市荷揚町
大分市大在の県道で2021年2月に時速194キロの車が引き起こした死亡事故で、大分地裁は10日、自動車運転処罰法の危険運転致死罪に問われた大分市の男(23)の裁判員裁判初公判を11月5日に開くと明らかにした。関係者によると、弁護側は同罪の成立を否定し、刑罰の軽い過失運転致死罪の適用を求める見込み。法定速度の3倍を超える猛スピードの事故をどう裁くか注目される。
裁判官、検察官、弁護人の法曹三者による第9回公判前整理手続きが10日に非公開で開かれ、証拠の絞り込みや審理日程などを協議した。被告の男は出席しなかった。
関係者によると、最大の争点は、法定刑が最長で懲役20年となる危険運転致死罪の成否。男の運転が、構成要件である▽制御困難な高速走行▽妨害運転―に該当するかどうかを中心に審理をする。弁護側は法定刑が懲役7年以下の過失運転致死罪の成立にとどまると訴える見通し。判決は11月末ごろになりそう。
大分地検は事故から1年5カ月後の22年7月、男を過失運転致死罪で在宅起訴した。被害者の遺族が「過失の事故ではない」と署名活動を展開。世論が高まり、地検は同12月、危険運転致死罪に切り替えた。同罪が認定されない場合に備え、過失運転致死罪も「予備的訴因」として維持している。
事故で弟=当時(50)=を亡くした女性(58)は「ようやく裁判が始まる。弟の命を奪ったことをどう思っているのか被告に聞きたい」と話した。
事故後、法務省では危険運転致死傷罪の法改正を視野に入れた議論が始まった。適用基準が曖昧との指摘を踏まえ、今年2月から有識者検討会を開いている。