神仏習合の六郷満山文化が栄えた仏の里・国東半島に伝わる修験行事「峰入り」。開祖・仁聞菩薩(にんもんぼさつ)の境地を目指し、天台宗の僧侶が半島一帯に残る修行の跡をたどる行事で、約1300年前から中断と復興を繰り返して受け継がれてきた。2010年、10年ぶりに行われた伝統行事を前に、見守り支えてきた人々の思いを紹介した。
※大分合同新聞 朝刊社会面 2010年3月25~29日掲載
この冬、国東半島各地で講演会や写真展など「峰入り」にまつわる多くの催しがあった。わらじ作りや行者が歩く道のボランティア清掃には地元高校生や高齢者ら300近くの市民が参加。これまでかかわることのなかった幅広い世代の人が、地域に伝わる伝統行事...
山桜の薄ピンク色が彩る山中に、広い田畑とわずかな民家が点在し、時折行き交う車の音が静かな山村に人々の往来を感じさせる。行者が歩く道には、こうした国東半島の光景が広がる。地域と信仰の深いつながりの中で六郷満山文化が栄えた半島一帯。伝統行事の...
「縫いよん時は風邪もひかん。不思議な力でもあるんやろか」。柔和な表情で話すのは峰入り僧の白装束を作る別府市の和裁職人、上野晃さん(90)=旧香々地町出身。「1着に1週間はかかる。難しいんは、ずきんかな」と顔をほころばせた。20日に卒寿を迎...
ただひたすらに峰や谷を進む白装束姿の列に「口で表せない神秘的な雰囲気」の一瞬を狙ってシャッターを切る。写真家の藤田晴一さん(70)=別府市=はこれまでに2度、峰入りの様子をカメラに収めてきた。「峰入り僧の姿は風景に溶け込んでいる。半島の風...
中断と復興を繰り返しながらも、現在まで伝えられてきた峰入り。日本の古代中世史や宗教史を研究する別府大学文学部の飯沼賢司教授(56)は「時代の波に合わせ、その姿を変えて続いている」と言う。1300年近く前に始まった峰入りの変遷を聞いた。 ...
「ブォ~ ブォオ~」。宇佐神宮の静かな参道に行者の訪れを知らせるほら貝の音が鳴り響く。...
六郷満山の開祖・仁聞菩薩(にんもんぼさつ)の境地を目指し、国東半島の天台宗僧侶らが修行の足跡をたどる「峰入り」が10年ぶりに30日、御許(おもと)山(宇佐市)での開白(かいびゃく)護摩で始まった。4月4日まで6日間にわたって寺院や霊場を巡...
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は31日、豊後高田市の熊野磨崖仏(まがいぶつ)で採灯(さいとう)護摩があり、約150キロの道のりを歩く日程が本格的に始まった。...
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は31日、豊後高田市内の寺院や霊場を目指し、白装束姿の行者が長い列をつくって歩いた。夕方、雨が降る中、一般参加者を含めた約150人は歩き続け、午後6時半ごろ、僧侶の宿坊となる長安寺にたどり着い...
たくましく歩みを進める行者に交じって、まだ表情に幼さの残る小さな行者が歩幅をいっぱいに広げて歩いている。...
少しでも足を休めてほしい―。1170センチを超える身長の若者4人は1日、同じほどの体格をした僧侶の“足”となった。...
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は1日、道中で最大の難所とされる豊後高田市の無明(むみょう)橋を通り抜け、国東市内に入った。岩山などが多い険しい道のりだっただけに、行者の表情には疲労感も漂い始めた。...
ほっと一息つくと、歩き疲れた行者の顔がふっとほころぶ。...
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は2日、国東市の岩戸寺を出発して後半の道のりに入った。雨上がりで足場の悪い場所も多かったが、約130人の一般参加者を加えた一行は寒風の中、力強く歩き続け、丸小野寺まで市内の谷筋や山中を進んだ。...
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は3日、目的地の両子寺(国東市)に到着した。険しい岩山や道なき道を進み、5日間で約150キロを踏破した行者たちはすがすがしい笑顔を浮かべ、涙を流してたたえ合う姿もあった。...
足は擦り傷やまめでボロボロだった。足袋には赤く血がにじんだ跡もあった。...
国東半島の天台宗僧侶らによる修験行事「峰入り」は4日、国東市の両子寺で結願(けちがん)護摩をして、6日間にわたる荒行を締めくくった。すべての行程を果たし、「満願成就」を迎えた行者の顔には笑顔があふれた。...
11日付の紙面はこちら