2025101日()

(3)趣向に合った機会提供

> 金子康二コーチ(左から2人目)の指導を受けるわっしょいUSAクラブ・U|15サッカースクールの受講者=2月、宇佐市の和間小学校
 多種目、多世代、多志向を運営方針とし、住民が主体的に運営する総合型地域スポーツクラブ。競技性の高いクラスから親しみやすい教室まで、おのおのの趣向に合わせたスポーツの機会を地域に提供する。より多くの人に参加してもらうには、地域のニーズ把握が欠かせない。
 2月25日夜、宇佐市の和間小体育館に小学5年生から中学生までの11人が集まった。同市のわっしょいUSAクラブが昨年春に立ち上げたU―15サッカースクールの受講者だ。日本サッカー協会公認A級コーチのライセンスを持つ金子康二さん(38)が前回の練習の動画を見せ、良かった点や反省点を共有。その後、体重移動やボールを使ったトレーニングが続いた。
 クラブマネジャーの宮崎啓子さん(44)は「高いレベルでやりたいという会員らの声があった」と話す。市内にサッカー部がある中学校は少なく、小学校を卒業すると他のスポーツを始めるか、他市のクラブに通う子どもが多いという。
 「ここで習ったことを地域や学校に還元してもらえれば。結果的に何か変化すればいい」と金子さん。日本代表を目指しているという長洲中(同市)1年の岩男柊人さん(13)は「コーチは駄目なところを分かりやすく教えてくれる。ここでの練習は欠かせません」と汗を拭った。
 大分市の東大分小校区に拠点を置くわいわい夢クラブは男性専用の体操教室「のび男」を2年前につくった。同22日午後、同市の公民館では70~80代を中心とした男性9人がボールやマットを使って、体幹を鍛える体操を教わっていた。近所の3人と通う森宏さん(79)は「この教室の日は晩酌がうまいんだ」と笑った。
 会長兼クラブマネジャーの吉田和光さん(70)は「体操教室の参加者はほとんどが女性で、男性は恥ずかしがっていた。定年後の地域デビューの場にもなればいい」と狙いを話す。
 同クラブは現在、40教室を開講しており、絵手紙や書道などの文化教室もある。会員数は435人。2007年の設立以来、増え続けている。吉田さんは「常にアンテナを張り、地域の人としっかり情報共有することが大切」と説く。「クラブは地域に支えられて成り立っている。だからこそ地域の核となり、課題解決にもっと役立つことができれば」。尽きない向上心で前に進むつもりだ。

<メモ>
 県内の総合型地域スポーツクラブ数は44で全市町村にある。会員は計1万7509人(2018年9月現在)で、近年は微増傾向。クラブを対象に県が実施した調査によると、課題は「指導者の確保(養成)」「会費・参加費など受益者負担による財源確保」がいずれも約70%となっている。

(宣 言)
 「支え合い」で地域は成り立つ。感謝の気持ちを持って相手の声に耳を傾け、互いを高め合おう。