明治安田J2第37節第1日(3日・ニッパツ三ツ沢球技場ほか=9試合)大分は大分市のレゾナックドーム大分で群馬と対戦し、2―1で勝利した。 大分の次の試合は、今季最終戦となる第38節の10日午後2時から、仙台市のユアテックスタジアム仙台で仙台と戦う。 【大分2―1群馬評】 大分は後半に挙げた2点のリードを守り、ホーム最終戦を白星で飾った。 前半から大分がゲームを支配したものの、得点は奪えずに折り返した。後半6分にDFデルラン、17分にはMF弓場が得点を奪った。しかし、相手が選手交代で息を吹き返し、34分に失点。その後も劣勢の状況が続いたが、体を張って防いだ。■デルラン先制弾、弓場は今季初ゴール 1万人を超えるサポーターで埋まったホーム最終戦を、大分が白星で締めくくった。今季わずか3勝の本拠地で、選手たちは「結果にこだわる」(MF保田堅心)と一体感を持って臨んでいた。片野坂知宏監督は「簡単なゲームにならないことは分かっていた。最大限に力を発揮してくれた」と評価した。 試合は後半6分に動いた。ゴール前の混戦からDFデルランが蹴り込んで先制。17分には「泥くさく、気持ちで押し込んだ」とMF弓場将輝の今季初ゴールで、理想的な流れに持ち込んだ。 しかし、その後の試合運びはまずかった。好機を量産したものの3点目を決め切れず、「最後の質が低い」(片野坂監督)と今季の課題を露呈。守備に回る時間帯が続き、34分に失点した。それでも何とか逃げ切った。 選手たちは今節、特別な思いでピッチに立った。勝利はもちろん、「梅さん(契約満了が発表されたMF梅崎司)を早くピッチに出したい」とリードする展開を思い描いた。2点目を挙げた弓場は「憧れの先輩。プロとしての姿勢を学んだ」と梅崎に駆け寄った。 リーグ戦は残すところ1試合。最終節を今季初の3連勝で終えたい。保田は「積み上げてきたものを発揮し、有終の美を飾る」と誓った。 大分トリニータ・片野坂知宏監督の話 今季はホームで勝てず、サポーターの期待に応えられなかった。結果が出て良かった。選手たちの今節に懸ける思いが勝利を呼び込んだ。 FW渡辺新太 ホームではたった4勝。本当に悔しく、悲しい思いをさせた。一年でも早くJ1に戻るためにも、もっと各自がプロとして勝ちにこだわる必要がある。 GK文慶建(ムンキョンゴン) 無失点に抑えられず、反省している。今季は自分のミスが失点に直結する場面が多く、迷惑をかけた。次戦は来季につながるような試合内容を見せる。■梅崎「次は監督として大分に」 1点リードで迎えた後半追加タイム、この日一番の歓声が響いた。最後の交代カードでピッチに立ったのは、前日に契約満了が発表されたMF梅崎司。スタンドでは「偉大な背番号7」の横幕が大きくなびいた。 今季はけがに泣き、数週間前にも左太ももを負傷。痛み止めを打って控えに名を連ねた。「思いをくんでもらい最後に出られた。感謝しかない」 来季の構想外を告げられたのは数日前。「まだやれるつもりだったが、けがも多く限界だった」と葛藤も抱えていた。現役続行の可能性は残すものの、指導者の道に進みたい思いを強くした。試合前にはロッカールームで「これをラストゲームにする」と全員に伝えたという。 セレモニー後に報道陣に囲まれ、「最後に『次は監督として大分に帰ってきます』って言い忘れた」と笑い飛ばした。■小沢社長「期待を裏切る結果」と頭下げる 試合後、今季を総括するセレモニーがあった。クラブ創設30周年の節目にもかかわらず、残留争いに巻き込まれるなど成績は振るわなかった。小沢正風社長のあいさつ中には、多くのサポーターがブーイングを浴びせた。 小沢社長は「期待を裏切る結果」と深く頭を下げ、それでも力強い応援をしてくれたことに感謝の言葉を続けた。 片野坂知宏監督は「現場を預かる私の責任」とおわびし、「検証、分析して来季につなげる」と誓った。渡辺新太主将も声援への礼を述べ、最後は温かい拍手に包まれた。 ■退任の西山GMは「大分愛」にじませ 退任が決まった西山哲平ゼネラルマネジャーは、盟友・片野坂知宏監督の機転によりセレモニーでマイクを握った。 「ふがいない結果に強く責任を感じている。私の力不足」と反省の弁を並べたが、サポーターからはこれまでの功績をたたえるように拍手が途切れなかった。 試合後の取材に今後は白紙としながら、言葉の節々に「大分愛」をにじませた。「会社にとって自分の価値があれば」とクラブに残ることに含みを持たせ、次のGMが決まり次第、サポートに回る考えも示した。 ②レゾド(大分2勝)大 分2―1群馬0―02―1▽得点者【分】デルラン(後6分)、弓場(後17分)【群】佐川(後34分)
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