日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』制約を乗り越えたレースシーン作り プロデューサーが明かす

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日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の場面カット (C)TBSスパークル/TBS

 俳優・妻夫木聡が主演を務める、TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(毎週日曜 後9:00)。本作を手掛ける加藤章一プロデューサーに、原作との出会いから主人公・栗須栄治を演じる妻夫木聡らのキャスティングの裏話、撮影時に思わず涙がこぼれた瞬間までを熱く語ってもらった。

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■原作との出会いから5年。映像で伝えたい思い

――原作と出会ったきっかけと印象を教えてください。

原作が刊行された直後の2019年秋、知り合いの方から「すごく面白い小説だから、ドラマにできないかな」と勧められて読んだのが最初でした。読み進めるうちに、ストーリーも題材も非常に面白いなと感じました。僕自身は、競馬は全くやらないので、未知の世界をのぞくような感覚でした。馬主(うまぬし)、生産牧場、育成牧場、トレーニング・センター(以下、トレセン)…そうした仕組みを初めて知り、「こういう世界なんだ」と新鮮でした。

さらに強く惹かれたのは、作品のテーマでもある“継承”です。サラブレッドは走るために血統が受け継がれていきますが、それは人間の営みにも重なるもの。とても素敵なテーマだと思いました。

新潮社さんを通じて原作者の早見先生とお会いした際も、馬を題材にしながら人間の生き方に通じる物語だと話が弾みました。その後父親を亡くし「何もしてあげられなかった」と思っていた時期でもありましたが、親がいたからこそ自分がいるという実感や、知らず知らずのうちに何かを継承している感覚が重なり、この原作をどうしても映像化したいという思いが強まりました。

――ドラマ化に向けた経緯と、放送に至るまでの道のりは?

2019年末に新潮社さんと早見先生とお話しして、2020年初めにはJRA(日本中央競馬会)さんにも快諾いただきました。すぐにでも進められる状況でしたが、コロナ禍で企画が止まってしまい、再び動き出せたのは一昨年。足かけ5年かかりました。

だからこそ、今回ようやく放送にこぎ着けられたことが本当にうれしいです。使命感というより、せっかく出会えた素晴らしい原作を映像としてより多くの方に届けたい。その思いを形にできたことに、今は安心していますし、あらためて「いい原作に出会えた」と実感しています。

■制約を乗り越えたレースシーン作りの裏側

――撮影に向けて準備を進める中で、大変だったことはありますか?

JRAさんに全面協力いただき、実際のレースの合間を縫って競馬場で撮影しています。また、現役で走っているサラブレッドは馬主さんがいらっしゃるためそのまま走らせることが難しいので、馬を集める作業は今も続いていて大変なところです。

その中で印象に残っているのは、撮影が本格的に動き出す前、昨年初めから行った取材です。牧場主さんや馬主さん、ジョッキーさん、調教師さんと直接お話する中で、本やネットで調べても分からないことばかりだと気づきました。競馬は多くの人が関わって成り立っていて、ビジネスとしての側面もある。そうしたリアルな現場の話を聞く時間はとても楽しかったです。

大規模な牧場と、ご夫婦だけで営む北海道・日高の小さな牧場の両方を訪ねた時の対比も忘れられません。限られた環境で奮闘する姿を目にして、「これをドラマで描きたい」と強く思いました。

――レースシーンの撮影では、どんな工夫をしていますか?

18頭の馬を集めてレースを再現するのは現実的に難しく、場所や馬の制約もあって、どうやって映像化するかは大きな課題でした。塚原監督とも何度も相談し、試行錯誤を重ねています。

実際の競馬を生で見ると感動するのは当然ですが、僕らが目指すのは「ドラマの物語の中でレースをどう作用させるか」。勝敗や展開にどのように人間関係が絡むかを描くことが大切だと考えました。そのため、さまざまな映像を組み合わせ、各話ごとに違う視点を取り入れるようにしています。同じようなレース映像にならない工夫は大変ですが、やりがいを感じています。

■キャストと物語が重なり合う瞬間

――妻夫木さんを起用された理由と、実際に撮影現場で感じたことを教えてください。

以前からご一緒したいと思っていた俳優さんで、今回の栗須という役はまさに妻夫木さんが適任だと感じました。原作ではストーリーテラー的な役割ですが、ドラマでは物語を引っ張る存在としても機能する。バランス感覚が必要で、難しい役柄です。
早見先生にごあいさつに伺った際、先生からも「妻夫木さんはいかがですか」と話が合い、実現したことはうれしかったです。実際に演じていただいたところ、栗須が自ら動き出した瞬間に、栗須という人物と妻夫木さんの芝居がぴたりと重なっているように感じました。

――撮影を通して、妻夫木さんのすごみを感じたエピソードはありますか?

妻夫木さんのクランクインの時点で、台本の半分以上が出来上がっていたのですが、全て頭に入っていて驚きました。セリフだけでなく展開の流れまで把握している。ご自身のお芝居に集中するだけでなく、作品全体を広い視点で見て、ストーリーの流れに沿ったアドバイスまでしてくださるんです。主演として座長の役割も果たし、撮影現場を引っ張ってくださっています。
原作を読んだ人が想像する以上の演技を見せてくれる場面も多く、「すごいな」と思わされる場面が何度もあります。

――人材派遣会社・株式会社ロイヤルヒューマンの創業社長で馬主の山王耕造役を演じる佐藤浩市さんについては?

耕造は“昭和的な経営者”像を体現しながらも、実は情に厚いという難しいキャラクターです。ワンマン社長で怖いだけの人物になってしまうと幅が出ませんが、佐藤さんならその裏の温かさまで引き出して頂けると思いました。実際はスマートでかっこいい方ですが、あえて佐藤さんにお願いすることで説得力が増す。そこに魅力を感じてオファーしました。
さらに妻夫木さんと以前から親交があるそうで、年齢は離れていますが兄弟のような関係性がそのまま栗須と耕造の関係に投影され、作品に作用しています。クランクインで美浦(みほ)のトレセンで2人が並んで調教を見るシーンでは、2人の自然なやりとりに思わず泣きそうになりました。想像していた以上にぴたりとはまっていて、今も撮影現場全体を支えてくださっています。

――そこに加わるのが物語の鍵を握る重要な人物を演じる目黒蓮さんですね。

はい。これまで映画「わたしの幸せな結婚」(2023年)や金曜ドラマ『トリリオンゲーム』(2023年)、「劇場版 トリリオンゲーム」(2025年)でご一緒してきましたが、今回は非常に繊細で、物語を大きく左右する役をお願いしました。かなり早い段階から「目黒くんにやってほしい」と考えていました。
北海道で馬に触れるシーンでは、思わず目から涙が出るほどの画が生まれ、「やっぱりお願いしてよかった」と心から思いました。
すでに出来上がっている妻夫木さんと佐藤さんの空気感を、目黒さんが変化させ、そこに新しい空気を生み出してくれるはず。とても楽しみにしています。

■馬との自然な関わりが生む映像の魅力

――馬との撮影でキャストはどんな様子ですか?

妻夫木さんと佐藤さんは、これまでも時代劇などで馬に乗る機会が多く、とても慣れていらっしゃいます。佐藤さんはポスター撮影の際、少しびくびくしている馬にも自ら近づいて声をかけていて「さすがだな」と思いました。実際に本編の撮影でも落ち着いてスムーズに進められています。

妻夫木さんも同じで、ご本人が「うまく乗れない時に馬を洗ってあげたら心を開いてくれた」とエピソードを語っていましたが、その経験から馬との接し方をよく理解されている印象です。そして、撮影が始まってすぐに僕らスタッフが天候の変動やスケジュールに追われて慌てた際にも、撮影に協力してくれている馬のことを第一に考え、妻夫木さんから「馬との撮影は必要最低人数でやったほうがいいかもしれない」とアドバイスをいただきました。実際に環境を変えてみると馬も早く落ち着いてくれるようになりました。

目黒くんが北海道で撮影した時は、その工夫を意識して臨みました。最初は馬もびくびくしていましたが、だんだんと心を開いて自分から目黒くんに近づいていく様子が自然に撮れました。役者さんたちが「馬をどう映すか」を考えて演じているので、いい画が生まれています。

――第1話のゲストには、現役ジョッキーの武豊さんが出演されています。

馬主・椎名善弘を演じる沢村一樹さんとの会話も、実際のオーナーとジョッキーのやりとりのようなリアリティがありました。競馬場という慣れ親しんだ場所での撮影だったことも大きかったのかもしれません。実は第2話にも人気ジョッキーの方が出演されるので、お楽しみに。

■夢と情熱、そして癒やし――本作が伝えたいこと

――本作を通して伝えたい思いを教えてください。

馬と関わって撮影していると、馬の純粋さや臆病さに気づかされます。こちらがびくびくすると逃げてしまうし、大胆に接してもすぐ走り去ってしまう。でも、心を開いて待っていると、向こうから近づいてきてくれる。その姿に癒やされますし、そういう気持ちを映像でも表現したいと思いました。

今は生きづらさを感じている人も多く、さまざまな悩みや不安を抱えていることもあります。そういった中で、自分の夢を恥ずかしがらずに語り、情熱を持って行動する耕造のように「俺の夢はこうだ」と言える姿は素晴らしいと感じます。視聴者の方にも、日曜の夜にこのドラマを見て「明日から頑張ろう」と思ってもらえたらうれしいです。また、単純に馬が走る姿を見ているだけでも癒やされると思います。

――第1話の見どころは?

本作は、競馬を題材にした20年間の継承の物語でありつつ、家族の再生や新たなつながりも描いています。エキサイティングな競馬シーンや熱い展開が目立ちますが、家族の温かさや仲間との絆も見どころです。挫折や失敗をどう乗り越えるかを役者さんとスタッフが丁寧に表現しており、幅広い層に見ていただける日曜劇場として、家族愛や友情の描写も楽しんでいただきたいです。

「競馬を知らない人にも楽しんでもらえるように」と意識して作っています。生産牧場やトレセンの中、社台ファーム(北海道千歳市にある競走馬の生産牧場)など、普段見られない場所の映像も登場するので、競馬好きの方にも新しい発見があるはずです。競馬を知らない方も、競馬の世界の面白さや魅力を楽しんでいただければと思います。

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