熱心に耳を傾ける一般参加者
スポーツの力とは、これからの理想像とは―。トークセッションには全出演者とアドバイザーが参加し、大切にしているキーワードや、目指すべき活動を示す「私のミライ宣言」をスケッチブックに書き込み、議論した。
競泳の元五輪選手で、竹田市内で子どもの暮らしを豊かにする企画に挑戦中の小笠原順子さんは、限られた人だけではなく誰もがする、見る、支えるスポーツのあり方を示唆した。ミライ宣言には「ライフワーク」を示し「オリンピアンとしての経歴やお金に縛られず、暮らしに必要なことに人生を懸けたい」と夢を語った。
スポーツの力を信じ、別府市内の短大で理想的な指導法などを研究する中山正剛さんは目的を明確に定めた上で、達成する方法を絶えず見直すことが大切だと力説した。問題発見や創造のスキルを持つ学生を育てたいとし、「AIに負けない人材育成」を提示。「そのためにスポーツをツールにしていきたい」と話した。
母親の視点を生かし、宇佐市で総合型地域スポーツクラブを運営する宮崎啓子さんは、間口を狭めずに子どもたちを受け入れていると紹介した。活動資金を確保したり、新しい取り組みに理解を得たりする難しさも吐露。それでもやってこられたのは周囲のおかげと感謝し、「サポート」と書き込んだ紙を手に「今後は支える側になれれば」。
牛尾洋人さんは元ビーチバレーボール選手の経験を土台に、大分県を拠点にデフ(聴覚障害者)ビーチバレーボールの普及に取り組む。ビーチバレーボールではサーブやスパイクが急激に変化するなど、逆風こそが有利という。競技の認知度の低さに苦しむが困難への挑戦こそが「自分の生きる道」と熱弁。将来の夢に「手話であふれる街、大分」を掲げた。
サッカーJ1・大分トリニータのスタッフとして、サポーターが楽しめるイベントを手掛ける吉門恵美さんのキーワードは「多くの1回ではなく、唯一の1回」。学校訪問などのホームタウン活動は年間、数百回あるが、来場者にとってはその一回きりと説明した。今後はチームの成績にかかわらず、より多くの県民の生活の一部になると誓った。
アドバイザーの天野春果さんは「大分はスポーツが身近な上、人材もそろい、恵まれている。スポーツ先進県になってほしい」とエールを送った。