受験体験談 爽風館高定時制普通科Ⅱ部を卒業した佐藤太晴さん
爽風館高(大分市)定時制普通科を今月卒業した佐藤太晴(たいせい)さん(18)は、福岡大商学部会計専門職プログラムに合格した。高校在学中に日商簿記検定1級や公認会計士試験・短答式など、現役高校生が合格するのは極めてまれな難関資格の取得と大学受験を両立させた勉強スタイルとは―。
■入学直後から3年間での卒業を視野
佐藤さんが選択していた爽風館高定時制Ⅱ部の授業は午後から。佐藤さんは入学直後から、通常4年間のところを3年間で卒業することを目標にしていた。必要な単位を取るために午前中の授業も履修した。大学入試に必要な評点を上げることを考え、欠席はほぼなし。飲食店でのアルバイトも続けていた。資格試験や定期考査など「今向かうべき次の目標」を設定し、一つ達成したら次の目標を設定してきた。そうして高校3年間の時間をフルに活用したという。
簿記を学び始めたのは高校1年の時に友人に誘われたことがきっかけ。手にした問題集を読んでみると内容が頭にすんなり入ってきた。分からないところはインターネットで検索し、独学で学んだ。
高校1年で日商3級、高校2年6月に日商2級を順調に取得し、2年の11月には日商1級に一発合格した。一つ合格したら次に受ける試験日を決め、その日までに取り組むべきことを逆算して学習を進めた。一方で定期考査の時期には学校の教科の学習に集中。やると決めたことは担任教師ら周りの人に話し「有言実行」を実践した。
高校入学前から学校の教科以外の勉強が好きで、韓国語やプログラミングなどを独学していた。「知らないことを学んだりインプットしたりすることが面白い。簿記はすらすらと頭に入ってきたので自分に合っていた」と振り返る。
■「いいことばかり」自信につながる資格
小中学生の時から大学への進学は考えていた。高校で簿記の勉強を進めるうちに将来の職業として公認会計士を意識し始めた。福岡大に養成プログラムがあることを知り、2年生の時にオープンキャンパスに参加。大学で学ぶ先輩の姿に刺激を受けた。志望校を高校の担任に伝え、受験科目の個別指導を受けながら入試準備を進めた。
1月に試験がある一般入試・系統別日程を受験した。科目は英語、国語と選択科目。選択科目は簿記が選べ、得意な国語とともに配点が1・5倍になるため選んだ選抜方式だ。英語の対策は単語の聞き流しが中心。強化が必要な国語の古典は参考書や単語帳を繰り返し開いて問題を解いた。
大学受験真っただ中の12月には、公認会計士・短答式の試験があった。試験に向けて通信制の塾を受講、休日にはシェアオフィスで一日中自習していた。受験直後の自己採点結果は良いものではなかったが、気持ちを切り替えて大学受験に向かった。その結果、公認会計士・短答式と大学、両方の合格を手にした。
大学では教授ら新たな人との出会いや未知の経験に胸を膨らませる。後輩には「資格は取るべき」とアドバイス。「自分に余裕ができるし、自信にもつながる。資格の種類によっては大学の推薦入試や就職にも生かせる。いいことばかり」と強く勧めた。