日本文理大付属高から大分大医学部医学科に進んだ河野藍琉さんの合格体験談
2024年春、日本文理大学付属高(佐伯市)普通科特別進学コースを卒業し、大分大医学部医学科に進んだ河野(こうの)藍琉(あいる)さん(19)。同校で初めての医学部医学科現役合格者だ。高校選びの段階から、医学科進学を念頭に自分の力が伸ばせる環境を選択。高校では狙い通り力を付け合格をつかんだ。
■「英語の力を底上げできる」進学先
佐伯市昭和中3年生の時、日本文理大付属高のオープンスクールに参加した。将来は医者になりたいと考え、医学科進学を見据えていた河野さん。オープンスクールで英語に詳しい教師がいると知り「ここなら苦手な英語の力を底上げできる」と考え、進学を決意した。校舎には職員室の横で生徒が自由に学習できるスペースが整備されており、快適な環境で勉強するイメージも湧いたという。
高校入学直後は授業の多さに戸惑った。8時間授業が週に4日。1年生の時はソフトテニス部に入っていたため、体力的にも厳しかったという。放課後は部活動や生徒会活動に参加。帰宅後は各教科の課題のほか、英語の先生が自分のために用意してくれた長文問題や参考書、英検の勉強に取り組み、苦手な英語を克服していった。
大分大医学部の2次試験で必要な科目は(1)理科系2科目(2)数学(3)英語(4)面接。理科系は物理と化学を選択した。この中で最も苦手だったのが物理。とにかく過去問題集を数多く解いて対策を進めた。
3年生の夏まで生徒会活動を続けた。引退後は受験に向けてギアを上げた。夏休みは自主的に登校し、朝から夜7時ごろまで勉強。分からないところは教師に質問しに行った。自分で計画を立てて黙々と勉強するタイプではあったが、過去問を準備してもらうなど先生からの協力が多くの場面であり「とても助かった」と感謝している。
■勉強漬けの月~土、日曜日は休む
高校入学後から夜型の勉強スタイルにシフトしていた河野さん。1年生の頃から、学校の授業がある日も平均3時間半の睡眠時間で勉強を続けた。月曜から土曜日は勉強漬け。その代わり日曜日はしっかり休むと決めた。昼過ぎまでゆっくり寝て気分を切り替え、日曜日の夜からは再び受験モードに入るというサイクルを回していた。
ハードな受験生活のモチベーションになったのは、模試の順位や偏差値だった。目標の数字に届かない時は悔しさが募り、それがまた机に向かう力になったという。
学習効率を高める方法も追求。使う参考書は1冊に絞った。「何冊買っても内容に大きな違いはない。時間をかけて複数のテキストに取り組むより、1冊を隅々まで理解すれば大体の問題には対応できるようになる」と考えた。
「50分勉強して、10分休憩する」という学習時間サイクルも実践した。学習時間管理アプリをスマホにインストールし、問題を解いている途中でも50分たったら手を止める。そうすることで「早く続きを解きたい」という気持ちが高まり、休憩後もすぐ続きに集中できたという。
時間管理アプリは毎日の勉強時間の記録にも活用した。勉強時間をインスタグラムに投稿して友人たちに見てもらった。多い時は14時間に達した日も。「今日もこれだけがんばった」という達成感が日々積み重なり、やる気と自信につながったという。
■コツコツ続ければ突然伸びる、体験
大学入学共通テストは目標点をクリア。予定通り大分大学医学部医学科に一般選抜で出願し、合格をつかんだ。後輩には「将来の自分のビジョンを明確に持って。それがあれば受験勉強でも心が折れにくい」とアドバイスする。
河野さんは受験勉強を通して、勉強を始めてすぐ模試やテストの点数が伸びなくても、コツコツ続けていれば突然伸びることがあることを体験した。2年生の時は勉強しているのに点数がなかなか伸びなかった物理だったが、諦めずに続けていたら、3年生の夏休み後に、予期せず点数が上がった。実感がなくても日々積み重ねたことは確実に力になっていると理解したという。
大学に入り、全国各地から集まった、年齢もさまざまな医学生仲間に刺激を受けている。医学科で学ぶ上で仲間の協力は不可欠で、コミュニケーションの大切さを感じている。高校生の頃に思い描いていた将来の医師像も、医学の実習に参加する中で変化しつつある。どんな姿であれ、自分が「こうなりたい」と思う姿が定まった時にはそれに近づいていけるよう、勉強に励んでいる。