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202049日()

新型肺炎 迅速・的確な情報提供を

 中国・武漢市から始まった新型コロナウイルス感染が急拡大している。22日夕までに肺炎発症者は400人を超え9人が死亡した。医療従事者の感染も増加。日本など中国以外での発症・感染者確認も相次いでいる。
 当初は患者と生活を共にしたり、医療行為をしたりといった「濃厚接触」がなければ人から人に感染しないとみられていた。だが中国政府の専門家が人から人への感染を認め、世界保健機関(WHO)が21日に「持続的な人から人への感染があるとみられる」と発表するに至り、にわかに緊張が高まった。
 日本政府は同日の関係閣僚会議で、今後の対応として検疫所での水際対策や医療機関での患者把握の徹底、国際的な連携と情報収集、国民への迅速で的確な情報提供を行う方針を決めた。いずれの対応も着実に進めてほしいが、中でも重要なのは的確な情報提供だ。
 新型ウイルスは、2003年ごろにアジアで流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、今も発生が続く中東呼吸器症候群(MERS)と同じコロナウイルスの仲間。SARSやMERSでは重症肺炎により多くの死者が出たため、今回も同様の事態を懸念する声がある。
 現時点ではSARSなどに比べ感染力は低く、重症化もしにくいとの見方が強いが、コロナウイルスは変異を起こしやすい。今後感染力が強まる可能性もある。ただ、情報不足はいたずらに不安を増幅する。国民が冷静に行動するために、政府や関係機関には科学的根拠に基づく正確な情報を遅滞なく発信するよう求めたい。
 中国政府は22日、初めて記者会見を開いた。情報公開への積極姿勢をアピールするのが狙いとみられるが、これまでの動きは、報道機関に国営メディアの記事を使うよう要求するなど情報統制以外の何物でもない。
 中国ではSARS流行の際も、報道規制によって危険性の認識が遅れ、感染拡大を招いた過去がある。感染の大本が隠蔽(いんぺい)体質では、新型肺炎の制圧など望めない。中国政府は透明性を高め、WHOや各国と協力して感染封じ込めを図るべきだ。
 中国は24日から30日まで春節(旧正月)の大型連休に入る。国内外への大規模な人の移動が見込まれ、日本にも大勢の旅行者が訪れる。空港や港湾での水際対策強化が重要なのは確かだが、感染者の入国を完全に食い止めるのは難しいだろう。
 感染してから発熱やせき、息切れなどの症状が現れるまでの潜伏期間は最長2週間ほどとみられ、発症前に入国する可能性は大きい。また、国内初の患者となった神奈川県居住の中国人男性のように、解熱剤の服用で検疫所のサーモグラフィーによる体温監視をすり抜けるケースもある。ウイルスの侵入を前提に、国内での感染拡大を阻止する対策を講じる必要がある。
 国民の責務も大きい。流行地に渡航して体調に異変を感じたら、検疫所や医療機関で正直に自己申告すること。日頃の手洗いやうがいの徹底。せきやくしゃみが出るときは、周囲にしぶきをまき散らさないようにマスクを着けること。全て感染症に対する基本動作だ。
2020年1月23日

論説

 

 新聞ジャーナリズムの真骨頂が「論説」です。朝刊2面に掲載。現代社会が抱える広範囲な問題を真正面から捉え、公正な目で、批判すべきは批判して警鐘を鳴らします。少々硬く長い文章ですが、じっくりと読み込むことで物事の本質をしっかり見極めることができます。明日を考える指針の一つにしてください。

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