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202042日()

年金制度改正 子や孫を守る視点を

 来年の通常国会の焦点となる年金制度改正の骨格が固まってきた。政府が目指す改革の方向性が定まらなかった部分もあり与野党や経済界などの抵抗を受けて当初案からトーンダウンを余儀なくされた。年金改革は今後も不断に続く。それに当たっては、現役世代、さらには子や孫の世代の年金をも守る視点を改めてしっかり持つべきだ。
 少子高齢化が進む日本の公的年金は、受け取る側、保険料を納める側、税金をつぎ込む国の「三方一両損」の構造であり、給付抑制と負担増という痛みをどう分かち合うかが問題だ。それは今の高齢者と現役世代の間だけでなく、今の大人と子や孫の世代との間でもいかに利害調整するかが常にテーマとなる。
 厚生年金に加入する義務がある企業の要件は現在「従業員501人以上」。パートら非正規で働く人の加入を促すため政府はこれを2段階で「51人以上」に拡大する方向だ。制度の支え手を増やすとともに、国民年金だけの人が将来、低年金に陥らないよう年金額を手厚くする狙いがある。
 ただ厚生年金の保険料は労使折半のため、中小企業には負担が重い。「51人以上」とした場合、新たに65万人が加入できる一方、企業の保険料負担は1590億円増える。「撤廃」「21人以上」の案もあったが、業界団体の反発が大きかった。
 働いて一定以上の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金制度」は現在、65歳以上の場合、毎月の賃金と年金の合計が「47万円超」の人が対象。政府は高齢者の就業促進のため、当初はこれを「62万円超」に引き上げる考えだった。
 その場合、年金支給額が年約2200億円増えて年金財政が悪化するため、約30年後に将来世代の年金水準が0・2ポイント下がる。高所得者を優遇して将来世代に痛みを与える案だと野党のみならず与党内からも批判され「51万円超」に修正。それでも異論がやまず、結局は「47万円超」維持の方向になった。
 現在は合計月収「28万円超」で年金が減額される60~64歳は「47万円超」に見直す方針だが、2025~30年度に年金受給開始年齢は65歳になることが決まっている。
 ほかにも、年金の支え手を増やすため現在は60~70歳の間で選択できる受給開始年齢を75歳まで選べるようにする方針だ。
 厚生年金加入の企業要件については、同じ労働者であるなら勤める企業の規模にかかわらず同様の社会保険適用が筋だろう。ならば企業要件は本来撤廃が望ましい。非正規雇用が多い就職氷河期世代などが将来、低年金で生活保護が必要になるような状況を減らすためにも、政府は中小企業を支援しつつ非正規労働者の厚生年金加入のさらなる拡大に努めるべきだ。
 働く高齢者の年金減額縮小も、大いに働いて年金を支えてもらう狙いだが「(減額が)意欲を減退させることはない」(中西宏明経団連会長)と経済界からも前提に疑義が出た。
 将来世代の年金額を目減りさせてでも踏み切る改革なら相応の大義名分が必要だ。就労促進に有効だという根拠を明確に示せなかったことを政府は反省すべきだ。
2019年11月28日

論説

 

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