『「奴隷」になった犬、そして猫』太田匡彦著 「かわいい!」の犠牲になるペット

 ペットショップに並ぶ子犬や子猫を見て思わず発する「かわいい!」。でもこの「かわいい!」が子犬や子猫を死に追いやってきたことを知っているだろうか。新聞記者がペットビジネスの裏側と動物行政の実情を伝える執念のリポートだ。全編、現場ルポと詳細なデータ、取材記録で埋められている。

 1980年代に日本独特の「パピーミル(子犬工場)」や「競り市」が登場し、大量生産、大量販売、大量遺棄のビジネスモデルが成立した。今やペット市場は1兆5千億円まで拡大。ブームは悪質業者による動物虐待を促し、売れ残ったペットを処分する「引き取り屋」という闇ビジネスまで生んだ。

 減ったとはいえ、繁殖から小売りまでの流通過程で毎年2万4千匹の子犬、子猫の命が失われ、5万匹以上が全国の自治体で殺処分されている。

 欧米ではペットの免疫力や社会性を高めるため生後56日間は母親の下で育てる「8週齢規制」が常識だ。一方、日本では実質7週齢規制。幼いほど高く売れ、飼育コストも節約できるからだ。見た目のかわいさを優先し、先天性疾患や感染症のリスクが高まる繁殖と流通がなされてきたのだ。

 本書後半は8週齢規制をめぐる動物愛護団体、議員連盟、環境省、関連業者の攻防を詳しく報告する。2019年の動物愛護法改正では日本犬6種を除き8週齢規制がやっと実現した。

 動物愛護と経済合理性のせめぎあいは今後も続く。読後、これまでのようにペットショップを眺めることはできなくなった。

(朝日新聞出版 1500+税)=片岡義博

2019年12月19日

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