フェンシング界のマジックハンド

五輪金で「太田雄貴超え」狙う見延和靖



 フェンシングで思い浮かぶ日本選手と言えば、男子フルーレで活躍した太田雄貴さんだろう。

 2008年北京五輪の個人でフェンシング日本勢として初の表彰台となる銀メダルを獲得、12年ロンドン五輪では団体銀メダルをけん引した。

 引退後には日本フェンシング協会の会長を務め、競技普及や大会に娯楽性など加える試みを始めるなど改革を進めており、その手腕に注目を集める。

 その太田さんも成し遂げられなかった五輪金メダルを期待されているのが、男子エペの見延和靖(ネクサス)だ。

 福井県出身で32歳のフェンサーは、昨年11月にワールドカップ(W杯)通算3勝目を挙げ、今年3月には格上のグランプリ(GP)でも初優勝。5月のGPも制して世界ランキング1位に浮上した。

 7月までの昨季最終戦までトップをキープし、日本勢の全種目を通じて史上初の年間1位に輝き「太田超え」を達成した。

 11月末にスイスのローザンヌで行われた表彰式には羽織はかま姿で臨み「年間1位も一つの通過点だと考えているので、これからも更なる高みを目指してこれまでと同じ努力を重ねていきたい」と大舞台へ意欲を新たにした。

 高校からフェンシングを始めた見延は「一番分かりやすい」と全身が有効面となるエペに魅力を感じた。日本では上半身の胴体が有効面となるフルーレが主流で、2歳上の太田さんから学生時代に「フルーレをやらないか」と熱心に勧誘を受けたこともあるが、こだわり続けた。

 本場欧州ではエペの競技人口が多く、W杯などには1大会に300人以上も出場することがある。

 身長2メートル近い選手もいる中で、見延は177センチと大きくはないが、両腕を広げたリーチは身長を20センチも上回る197センチ。海外勢に劣らないリーチに、スピード、相手の意表を突く攻撃のタイミングを駆使して世界と闘う。

 ユニークな取り組みもしている。日常から剣先の感覚を少しでも磨けるようにと、自宅で使うのが約1メートルのマジックハンドだ。

 「100円ショップで買ったもの」であえて体の近くにある携帯をつかむなど距離感を養う。集中力を高める時は地元の福井県越前市の名産である包丁を研ぐ。

 「継続は力なり」という言葉が入った研ぎ専用の特注品で、長い時は1時間も向き合い心を整える。

 7月の世界選手権では自身の成績こそ振るわなかったが、日本勢で最後の試合となった男子フルーレ団体をチームメートと応援。見延は最後まで一人残って各選手にねぎらいの言葉を掛けた。

 太田さんが見延を「覚悟を持っているように見える」と評するように、チームリーダーとして自覚も十分だ。

 東京五輪後も「あと10年はやりたい。僕のピークは(24年五輪の)パリか(28年五輪の)ロサンゼルス」と真剣に先を見据えている。

 究極の目標は史上最強のフェンサー。「そのためには(金メダルを)取らないと。その先に見える景色がある」と歴史を塗り替える偉業へ高みを追い求める。

城山 教太(しろやま・きょうた)2000年共同通信入社。京都、広島支局などで警察、行政を担当して10年から運動部。レスリングやスキーの担当としてロンドン、ソチの五輪取材を経て、15年からプロ野球ソフトバンクをカバーした。18年から再び五輪競技を取材。札幌市出身。

2019年12月3日

スポーツリレーコラム

共同通信記者たちが見たスポーツ界の裏側をお見せします。

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