【Gateインパクト】「あのころに卍固め」スピンオフエッセー 駅前広場ザビエル像物語

当初設置されていたザビエル像

 JR大分駅「府内中央口」の広場に、フランシスコ・ザビエルのブロンズ像がある。すっかり見慣れた風景となっているが、このフランシスコ・ザビエル像、実は「2代目」だということをご存じだろうか。

■生まれ変わった駅前広場にザビエル像

 「100年に1度の事業」と言われたJR大分駅の高架化が完成してから3年後の2015年3月、「府内中央口」広場がオープンした。それ以前の駅前に比べて、人が往来しやすい広い空間が整備され、地元テレビ局の祭り、映画祭、演奏会、食のイベントなど多彩な催しが展開できる、明るく楽しさあふれる県都の玄関口に生まれ変わった。線路で分断されていた南北のエリアは高架によってつながり、南側「上野の森口」は、薄暗くて怖かったイメージが180度変わった。
 「府内中央口」の広場にはオープンに合わせてフランシスコ・ザビエル像(高さ2・3メートル)が設置されたが、その9カ月後に意外なことが起きた。
 大分合同新聞社データベースで見つけた2015年12月19日朝刊社会面の記事に、その出来事がこう書いてあった。
 (読みやすいよう一部加筆修正あり。【】は当時の記事。「」は読者の心の声)

■仕上がりに違和感覚え、彫刻家が交換申し出

 【大分市は18日、JR大分駅の府内中央口広場にあるフランシスコ・ザビエルのブロンズ像を交換すると発表した】
 多くの読者の皆さんが「え?? なんで、なんで」と、まず思ったことだろう。記事はこう続く。
 【制作者から「仕上がりに違和感がある」と交換の申し出があったという。交換の費用は制作者が全額負担する】
 「え? え? どういうことやろう」と、次の行に目が行ったはずだ。
 【ザビエル像を制作したのは彫刻家の雨宮透氏=山形市。大分市が今年(2015年)3月、広場のオープンに合わせて設置。大友宗麟像と並び、南蛮文化をテーマとした広場のシンボルとなっている】
 「そうで。それは知っちょん。はよ本題に入っちくりぃ」

■妥協を許さない制作者魂に感動

 【雨宮氏は既存の鋳型を基に新しい作品を作り直し、今月(12月)1日に交換を申し入れた。19日夜に像の交換作業をする】
 「ちゅうことは、同じ形の像が来るんやろか?」
 【雨宮氏は取材に「(交換する理由は)作った者だけが分かる違和感としか言いようがない。(新ザビエル像は)全身全霊で制作し、自分にできる最高の作品になった。市民の皆さんにも満足いただけると思う」と話した】
 読者の皆さんは「素晴らしい!」と感じたはずだ。こんなに真剣にこだわり、交換費用を全額自己負担してまで作り替えるなんて、感動すら覚える。彫刻家として、妥協を許さぬ魂が伝わってくるではないか。

■たくさんの人々に伝えたい 像を巡る物語

 そして新旧入れ替え作業はこの年(2015年)12月19日深夜から20日未明にかけて行われた。12月21日夕刊社会面には、報道で交換作業を知った多くの市民が見守ったことが書かれている。旧ザビエル像は19日午後11時半ごろ、クレーンで撤去された。そして新ザビエル像が登場。制作者の雨宮氏が細かく設置位置を指示しながら、20日午前2時半ごろ、設置が完了した。
 雨宮氏はこう話している。「色付けなどが微妙に違うだけだが、人間としてのザビエルを強調した温かみのある作品になった。旧像と同じように愛されてほしい」。新旧入れ替え前には旧ザビエル像の台座に「今までありがとう。お疲れさま」と書かれた匿名の手紙と花束が供えられていたという。
 多くの人に伝えたくなるザビエル像物語である。

【あのころに卍固め】
 JCOMの昼の情報番組「ひるドキ!」の金曜日放送のコーナー。大分合同新聞社の公式ユーチューブチャンネル「大分合同新聞oitatvcom」でも同じ内容を配信中。

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