大分合同新聞社は創刊140周年を記念して、歴史小説家で直木賞作家の安部龍太郎氏らと、環境問題を考える作文コンクール「地球さんご賞」に取り組みます。過去の受賞作品を、Gateインパクトで順次、紹介していきます。使用している漢字や表現は、作品のまま掲載します。
そうちゃん。
君は今年もいつもの場所で、ぼくが来るのを待ってくれていますか。
ぼくが友達と一緒に、君の周りを飛び回った時、君はすごくうれしそうに手を伸ばしてくれていたよね。
君は人間なのに、ぼくらホタルのことを本当の友達のようにせっしてくれて、ぼくは、そんな君のことが大好きだったんだ。
そしてぼくが君に「このままならきっと、ずっと一緒にいられるね」って言った時、君は「そんなの当たり前だよ」って笑ってくれたよね。
だからぼくは、これから先もずっと、君と一緒にいられる日が続くって、信じてうたがっていなかったんだ。
だけどそれは無理だったんだ。ぼくらの未来は君ら人間に全てうばわれてしまったんだ。
お父さんもお母さんも、友達も、みんなみんな、バラバラで生きるしかなくなって。
ぼくらのえさとなる生き物が死んで、食べる物がどんどんなくなって、生きることすらできなくて、みんなみんな死んじゃったんだ。
だから、君がいくらぼくを待ってくれていたとしても、ぼくはもう二度と、君に会うことすらできないんだ。
ねぇ人間は「自然を守りましょう」とか、「きれいな水を守るため、必要以上に洗剤を使わないようにしましょう」とかって、環境を守るために色々なことを言っているよね。
なのにどうして、いつも口先だけで行動にうつさないんだい。それは大人だけの責任なのかい。子どもの君は何も悪くないのかい。
ずっと君と一緒にいられるって思っていたのは、ぼくだけだったのかい。大好きな君だったはずなのに、君が人間ってだけで、ぼくは君のことを許せそうにないんだ。
それなのになぜかぼくは、もう一度だけでいいから、君に会いたいって思っちゃうんだ。
それに、去年生まれた、君の弟にも会ってみたいんだ。君の弟だもん。ぼくは君みたいな友達に絶対になれると思うんだ。
人間のことが許せないはずなのに、君や君の弟にだけは、会いたいって思っちゃうんだ。
こんな悲しい出来事がすべてゆめだったら良かったのにな。だけどゆめじゃなくて現実なんだ。いくら願ったとしても、二度と君に会うことはできないんだもん。時は止まってくれないし、もどすこともできない。
ぼくに、魔法は使えない。
ぼくの願いはね、ぼくらホタルみたいにみんな死んでしまう前に、君たち人間が口先だけじゃなくて、実際に行動にうつして、こんな悲しい気持ちになる生き物が二度と出ないように、環境を守ってくれることなんだ。
ぼくの最後の願いを、やさしい君ならきっとかなえてくれると、信じてるからね。
そうちゃん、ぼくはいなくなってしまうけど、君と友達だったことは決して忘れないよ。
友達になってくれて、本当にありがとう。