【Gateインパクト】エッセー 冬将軍は何とあの英雄の敗退が語源だったとは

ナポレオンを描いた絵画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」

 寒い。ブルルッと震える日が増えてきた。天気予報や日常会話で「冬将軍がやってきた」とよく言うが、はて、なぜそんなネーミングなのだろうかと、ふと疑問に思った。名前の由来について知っている人はいるかと思うが、筆者はどこかで聞いたような気がするという、かすかな記憶がある程度で、まったく分からないと言ってよいレベルだ。関心を持って見聞きしないと、こんなものである。
 過去の記事を調べてみると、日本気象協会が寄稿していた「気象歳時記」というコーナーにズバリ答えを見つけた。世界史にまつわる出来事が関わっていることをあらためて知り、感心した次第だ。
 気象歳時記によると、周期的に日本付近に南下する、シベリアからの強い寒気のことを「冬将軍」と呼ぶ。ここで登場するのがフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトである。
 1812年。今から200年以上も前の話にさかのぼる。その年、ナポレオンが率いる軍がロシアに攻め込んだ。しかし、シベリア寒気団がもたらした猛烈な寒さと積雪で、ナポレオン軍は撤退を余儀なくされたのだ。
 気象に負けたというインパクトは大きく、このことを知った英国の記者が、ナポレオンを打ち負かすほどの強い寒気団のことを「general frost(ジェネラル フロスト)」と表現した。これを直訳すると「霜将軍」となるが、日本では「冬将軍」として用いられるようになり、定着したというわけだ。
 「霜将軍」の和訳だとへなちょこ感が漂い、かなり弱そうだ。厳しい指導で弟子たちから「鬼軍曹」と恐れられたプロレスラー山本小鉄や、冷徹なファイトで「氷の皇帝」と呼ばれた総合格闘家エミリヤーエンコ・ヒョードルの方がよっぽど強く感じるではないか。
 そういうわけで「冬将軍」と読み替えた人はエライ。最強寒波ぶりが恐ろしいほどに伝わってくる。

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