【韓国南部地域ツアー】バス周遊の魅力感じた3泊4日の旅

縄に点火する地元保存会

 韓国観光公社が主催した報道向けツアーで、本紙で書き切れなかった魅力を紹介する。
 慶尚南道の威安郡に伝わる火祭り「威安落火ノリ」では、イベント前に「落火棒」作りを体験した。落火棒は点火用の縄飾りで、木炭粉を包んだ布と韓紙をねじって棒状にしたもの。火薬を使わない自然素材のため、環境汚染や騒音が少ない利点があるという。地元保存会のメンバーに教わりながら2人一組で丁寧に編み込み、先端に自身の願い事を記した短冊をくくり付けた。
 自分たちが作った落火棒を含む3千本が一斉に火花を降らす光景はとても感動的だった。会場に流れる韓国の弦楽器「カヤグム」の生演奏も見どころの一つ。数時間にわたって火の粉が舞い続けるため、手持ちのスマートフォンでもかなりきれいな写真や動画を撮ることができ、帰国後も何度も見返して楽しんでいる。
 醤作り体験をした後は、庭園「竹緑苑」にも立ち寄った。潭陽郡は竹の産地としても有名で、竹が生い茂る約5万坪の敷地内を散策し「竹林浴」をしながらカフェでひと休み。マイナスイオンを感じながら体と心を癒やした。
 光州は南西部に位置する広域市で、1980年に起きた「光州事件」の中心になった場所として知られる。当時の弾丸跡がビルの外壁に保存されており、路上から肉眼でも確認することができた。ガイドの女性は「韓国の民主化運動を象徴する街」と教えてくれた。
 旅の終盤で訪れた釜山では、毎週土曜日に海岸で実施しているドローンショーを海上のヨットから見学。広安大橋の夜景とドローン約千台の光が合わさり、夜空を華やかに彩った。翌朝はバリスタの世界大会で優勝者を出した人気カフェ「モモスコーヒー」へ。焙煎(ばいせん)する機械がずらりと並んだおしゃれな空間で、朝の一杯を楽しんだ。
 インターネットが身近にある今、自身でホテルや航空券を予約し、観光プランを立てることが主流となった。今回は添乗ガイドの詳しい解説とともに韓国南部の地域を巡り、改めてバス周遊の魅力を感じた。ディープな体験を求めて地方を旅する選択肢に、ツアーを入れてみても良いかもしれない。

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