プロレス界にも新型ホーバー登場!覆面レスラー「ホバーマンBanri」 「乗船者が増えるようなファイト目指す」

ホーバークラフト「Banri」と、レスラーの「ホバーマンBanri」(写真はコラージュ)

 今、大分県で話題になっている事といえば、間違いなく上位に食い込むのが新型ホーバークラフトの就航だろう。紆余(うよ)曲折あって、定期運航の開始が大幅に遅れ、7月26日にようやく大分市と大分空港(国東市)間で「Baien」「Banri」「Tanso」の3機が走り始めた。国内唯一のホーバー定期航路とあって、物珍しさも加わり、乗客やホーバーファンらが交流サイト(SNS)に「ホーバー乗りました」「かっこいい」「あっという間に空港に着いた」などと投稿しているのが目に飛び込んでくる。

■リングアナのコールにざわめく観客
 話題性抜群の新型ホーバーだが、お盆休み真っ最中の8月16日、まったく接点のなさそうなジャンルに新型ホーバーが登場し、それを目の当たりにした人々からは「オオーッ」というどよめきが起きた。そのジャンルとはプロレスである。
 この日夜、大分市生石のライブハウスで、大分市を拠点とする団体「プロレスリングFTO」の夏大会が開かれた。米国、バーレーン、台湾からも多数のレスラーが参戦してきたビッグマッチで、会場は超満員。その4試合目だった。
 米国のドン・レオ、ジェイ・レオの「レオブラザーズ」が先に入場。獣のようにほえながら待ち構える中、リングアナウンサーがコールする。「新型ホーバークラフト! ホバーマン バンリ入場!」。客席が「何だ何だ」とざわめく中、覆面レスラーが花道を歩いてきた。そのイメージはまさしく新型ホーバーだ。
 覆面は白、青、黒の3色を基調とし、頭部に赤いラインがある。トランクスは白と青がベースで、星がちりばめられている。「バンリ」とは2番船「Banri」のこと。つまり、リングネームは「ホバーマンBanri」ということになる。客席からは大きな歓声が巻き起こった。続いてパートナーのスカルリーパー・エイジ(FTO代表)が入場。2対2のタッグマッチのゴングが鳴った。

■ホーバーを連想させる空中殺法
 ホバーマンBanriはもともと旧型ホーバーをイメージしたホバーマン2号機として2015年にデビューした。なぜ2号機だったのかというと、その前にいた初号機を引き継いでFTOマットに現れたからだ。大分市と大分空港を結んでいた旧型ホーバーは2009年に航路を廃止したので、その後のデビューということになる。
 FTO選手名鑑には「長く大分の人々に親しまれてきたホーバークラフトの魂は今もリングの上で力強く生きているのだ」とある。このコンセプトでずっと戦っているが、ファンの間では「新型へのモデルチェンジがあればいいのに」という期待感も高まっていた。新型の就航のタイミングと合わせ、時流に乗ったと言って良いだろう。
 レスラー「ホバーマン」であり続けている理由は、そのファイトスタイルにある。重量級でありながら飛び技、いわゆる「空中殺法」を得意とし、宙に浮いて相手に仕掛ける技の数々が、空気で浮上して進むホーバーを連想させるのだ。空中殺法の延長線上には、連続バック転のパフォーマンスや、相手の意表を突くロープワーク(リングに張った3本のロープの使い方)などもあり、さながら器械体操の選手のような身軽さで、いつも観客を驚かせる。要するに、総合的に見て、ほかのレスラーはホバーマンにはなれないということだ。

■必殺技ホバースプラッシュで勝利
 さて、リングネームを変え、ニューコスチュームとなったホバーマンBanriは絶好調そのもので、スカルリーパー・エイジと息の合った連携でレオブラザーズを追い込んだ。その場跳びムーンサルトプレス(脚力で跳び上がり、後方宙返りをしながらダウンした相手の上に自らの体を落とす技)や、ホバードライブ(相手を横向きにして肩に担ぎ、前方回転しながら落として背中をマットにたたきつけ、自らは回転の勢いで跳ね起き、両足で着地するアクロバティックな技)などホバーマンBanriの大技がさく裂。スカルリーパー・エイジも雪崩式ブレーンバスター(コーナーを利用し、上から2段目のロープの上に立ち、逆さまに持ち上げた相手を、その高さから後方に投げる技)の大技を仕掛け、完全に主導権を握った。
 フィニッシュはホバーマンBanriが最上段のコーナーマットから放った必殺のホバースプラッシュ(リングに倒れた相手をめがけ、前方宙返りを450度回転し、そのままの勢いで相手に覆いかぶさるように全体重を落とす技)。見事に決まり、ドン・レオをマットに沈めた。
 試合後、ホバーマンBanriに感想を聞いた。「就航したばかりの新型ホーバークラフトを応援したい気持ちでいっぱい。乗船する人がどんどん増えていくきっかけに自分がなりたいし、もっと全国の人に知ってもらえるようなファイトを目指したい」と、ホーバー応援の本気度の高さをうかがわせた。これからの活躍を楽しみにしているファンは多い。(下川宏樹)

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