202559日()

三浦梅園に“触れる”建築科の学生

後藤梨心さんと作品「WAVE」。
後藤梨心さんと作品「WAVE」。
  • 後藤梨心さんと作品「WAVE」。
  • 武蔵野美大教授の新見隆さん(右端)と松岡勇樹さん(中)が学生の作品を講評
  • 学生の作品
  • 人の目の形をしたオブジェ「eye」(満田瑠果さんの作品)

 江戸時代に国東半島に暮らした哲学者の三浦梅園(1723~1789)の世界観をデザインに取り入れたらどうなる―。日本文理大(大分市一木)工学部建築学科1年の学生が、大分県の偉人の時代を超えた思想をもとに作品の制作に挑戦している。今年6年目となる講座について担当教員は「大分だからこその世界にここだけしかない講義だ」と胸を張っている。

■「一則一一」×「デ・ステイル」

 講義のテーマは「一則一一」×「デ・ステイル」のインテリア設計。すべてのものは正反対の二つの要素の合体からできている―という三浦梅園の世界モデル「一則一一」という考え方と、20世紀前半にオランダで始まった前衛美術運動「デ・ステイル」の造形手法を基にデザインしたインテリアを制作する内容。

 2019年度に近藤正一教授が企画。三浦梅園の出身地の国東市安岐町で育ったプロダクトデザイナーで同大客員教授の松岡勇樹さん(国東市)と一緒に講義を開いてきた。

 三浦梅園の思想を取り入れる発想は、元大分県立美術館長で武蔵野美術大教授の新見隆さんが、三浦梅園と「デ・ステイル」を並べて論じた講義がきっかけ。平面を立体に組み合わせる作品をつくってきた松岡さんが、この話に興味を持ち、学生向けへの講義として展開した。

 昨年10月に始まった講義(15週、全30回)には、建築を学び始めたばかりの学生約20人が受講。松岡さんの講義を受け、それぞれが作りたいインテリアのイメージを考えるところから始まる。学生は、イメージを平面に描き、コンピューターを用いて設計製図に取り組む。レーザー加工機で裁断した木質ボードに赤、青、黄、黒、白から選んで着色。最後に、ボードを組み合わせてインテリアをつくった。

 後藤梨心さんは「WAVE(ウエーブ)」と題するソファの模型を制作。前後どこから見てもカーブに見えるようにデザインした。後藤さんは「パーツの大きさや形が一つずつ異なり制作は大変だった。組み立てて完成したときに大きな達成感があった」と感想を話した。ほかにも、満田瑠果さんは、人の目の形をした置物「eye」を制作している。

■手を動かすことで思想に近づく

 松岡さんは「三浦梅園の理論は、大学に入ったばかりの学生には難しい理論。深く理解できなくとも建築を学び始める時期に触れることに大きな意義がある」と説明する。学生の作品について「実際に、手を動かしものづくりをする中で梅園の思想に近づくことができている」と評価している。

 1月24日には、この講義のきっかけにもなった武蔵野美術大教授の新見隆さんが参加した特別講座も開かれ、学生の作品を講評した。学生の作品を並べた「スペースデザイン展」を大分市高砂町の「いいちこアトリウムプラザ」で2月9日から同11日まで開いた。

 同大学の近藤教授は「ずぶの素人の学生が4カ月間で一定のクオリティーを超えた作品を完成させた。地方の私立大学だからこそできた特徴ある講座だ」と話している。

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