ワタシたちが税理士になった理由　河野浩延さん（４８）

大分合同新聞
GXエデュケーション
ワタシたちが税理士になった理由河野浩延さん（４８） [シゴト図鑑]

ＧＸエデュケーション: ワタシたちが税理士になった理由　河野浩延さん（４８）
シゴト図鑑　税理士; 2020/10/03(土) 03:00

河野浩延さん（４８）

　遠回りしながら、４０歳を過ぎて夢をかなえた努力家。「最初は教師を目指していた。人生でチャレンジするのに遅いということはない」と言い切る。
　国東高卒業後、岐阜県内の私大に進み、教育学部で学んだ。大学卒業後、大分県内の公立学校で臨時講師に。教員採用試験に挑み続けるが、合格できずに月日だけが流れた。
　結婚を控え、３０歳を前に別の道を模索。大学時代にアルバイトで家庭教師をしていたとき、経営者の家庭が多く、会社経営や税金の話題をよく聞いたことを思い出した。「教師が子どもの成長に寄り添うように、税理士になって経営者や会社の成長を手助けしたい」と新たな目標を定めた。
　大分市の税理士事務所に転職。高校教員の妻に支えられ、働きながら税理士試験に挑戦する日々が始まった。だが合格への道のりは険しく、幾度も失意に沈んだ。
　苦節十余年。４１歳で悲願の税理士資格を取得し、事務所を開業。顧客ゼロからのスタートだったが、創業者向けの補助金申請を手伝ううち口コミで顧客が増えた。今は約８０件の顧問先を抱え、手いっぱいの状況。「会計業務、税務申告の支援はもちろん、経営者と一緒に事業の未来像を考えていくことが求められている」
　小中学校などで税について講演する機会も多い。身近な時事問題や自身の半生をからめ分かりやすく、面白く話す。「教師にはなれなかったが、違う形で子どもたちに伝えられる」とやりがいを感じている。

■こだわり
顧問先の経営者に有益な情報を提供するだけでなく、悩みに寄り添い、不安の解消や前向きに挑戦する勇気につながるような対話を心掛けている。

■気分転換
息子２人が将棋に打ち込み、県代表として全国大会に出場するまでに強くなった。息子たちの対局を観戦し、応援することが何よりの楽しみ。

■これからの夢
子ども向け職業体験型テーマパーク「キッザニア」のような、大分の子どもたちが就業・起業体験を通じて社会の仕組みを学ぶのを支援する事業を起こしたい。

■ＰＲＯＦＩＬＥ
国東市出身。九州情報大大学院修士課程修了。２０１３年、大分市敷戸台に「河野浩延税理士事務所」を開業。税理士試験は数科目に合格後、科目免除制度を利用して税理士資格取得。