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辞退66% 仕事や家事、厳しい両立

市民参加10年 裁判員裁判大分(4)

 午前9時前に裁判所に入り、審理が終わった夕方から職場に向かった。高速道路を使い、車で片道約1時間。午後6時ごろから、たまった仕事をこなした。
 「他の社員に助けられて何とか2週間しのいだ。これが限度かな」。2017年7、8月の12日間、大分地裁でアパート放火事件の審理に携わった佐伯市の男性会社員(54)は、裁判員との「二足のわらじ」の経験を苦笑いしながら語った。
 勤め先は社員数人のスポーツ用品店。裁判中も携帯電話に取引先からの着信が相次いだ。「今、大分にいるんです。すみません…」。昼休みや閉廷後にまとめて電話をかけ直した。

 最高裁が全国の裁判員、補充裁判員に昨年実施したアンケートでは、裁判への参加を「非常に良い経験だった」「良い経験だった」と答えた人は計96・7%に上る。県内の元裁判員からも「どうすれば犯罪が起きないのかを深く考えるようになった」(40代男性)などと評価の声が聞かれた。
 ただ、審理や評議のたびに1日数時間の出席を求められるため、仕事や家事との両立には苦労も伴う。日当(1万円以内)や交通費は出るが、時間的な拘束は一定の負担になる。
 大分地裁の裁判員裁判で初公判から判決までの期間が最も長かったのは29日間。その一つが16年11、12月にあった別府市のマンション殺人事件の公判。被告が犯人かどうかを争点に審理を重ねた。判決後に会見した裁判員らは「これだけ長期間拘束されると何らかの犠牲を伴う」と影響を口にした。
 事実関係に争いがなく、比較的単純な事件は3日程度で終わる。昨年5月、スーパー駐車場の強盗致傷事件で裁判員を3日間務めた大分市の女性団体職員(54)は「特に負担はなかったが、小さい子どもがいれば預ける所が必要だし、人それぞれ条件がある。一概には勧められない」と振り返った。

 県内で昨年選ばれた裁判員候補者690人のうち、仕事などを理由に辞退したのは66・7%。17年より1・0ポイント改善したものの、3人に2人が辞退している状況だ。
 今年2月に大分地裁であった裁判員経験者の意見交換会で、40代女性は制度の改善や参加意欲の向上に対する国の姿勢が見えないと指摘した。「もし辞退率が問題になっているのなら、それが国民の答えではないか」との見方を示した。
 戦後最大の刑事司法改革から10年。「市民参加」の理念と成果が広く共有されたとは言い難い。裁判員裁判がなぜ必要なのか。制度の継続には、国民一人一人の理解を得る努力が欠かせない。
 =終わり=

<メモ>
 最高裁によると、裁判員候補者の昨年の辞退率は全国で67・1%。制度開始から上昇傾向が続く。選任手続きの無断欠席は32・5%だった。今年5月にまとめた総括報告書では「辞退は国民の負担を過重にしないなどの観点から制度化」されたものだと説明。現状の辞退率は制度運用に影響を及ぼすレベルではないとしつつ、今後も注視が必要だと分析した。
※この記事は、11月10日大分合同新聞朝刊23ページに掲載されています。
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