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押し寄せた外国人客 店に特需、観光地も一変

切り拓け―おおいた新時代 第11部 検証熱狂の1カ月(6)

 店外の歩道まで群衆があふれ、警察官は交通整理に追われた。
 ラグビーワールドカップ(W杯)大分開催の準々決勝、イングランド―オーストラリア戦を終えた19日午後11時すぎ。別府市中心部の英国風パブ「ベル」は、余韻を楽しむ外国人客でごった返した。
 敵味方なく肩を組んで歌い、酒をおごり合う。ラグビー特有の文化に、オーナーの内田昌志(34)は「驚いた」。ビールサーバーをフル回転し、店を回した。
 入店が待てない面々は隣のコンビニへ。棚の「酒」は程なく消えた。

 ビールを切らすな―。
 W杯の開幕前、しきりに発信されたフレーズは誇張ではなかった。
 外国人客が押し寄せた大分市中央町の居酒屋「炙(あぶ)り家陣吾郎」は臨機応変な対応で特需をつかんだ。1杯ずつの支払制とし、大きなプラスチック製コップで提供。店長の早坂憲貴(けんき)(30)は「海外の文化に合わせたのがうまくいった」。準々決勝があった2日間は、ビールが普段の週末の5倍(約300リットル)以上売れた。
 一方、県内随一の歓楽街・都町は苦戦した。
 焼き鳥店を営む宮本順一(73)は1カ月分の3倍量(約5700リットル)のビールを仕入れ、従業員を1人増やして臨んだが「閑古鳥が鳴いた」。
 危機感を強めた市都町連合会がジャングル公園でパブリックビューイングを開くとファンで埋まった。同連合会副会長の宮本は人波を見て悔やみ、宣伝や仕掛けの大切さを痛感した。
 「もっと早めにやっておけば良かった…」

 宿泊施設は欧州や南半球の客であふれた。
 ホテル別府パストラル(別府市東荘園町)は1次リーグで全63室の半分、準々決勝はほぼ全てが外国人で埋まり、売店のW杯グッズも飛ぶように売れた。
 日韓関係の悪化でインバウンド(訪日外国人客)の多くを占める韓国からの宿泊客が激減する中、「W杯に助けられた」と支配人の大住雅伸(56)。
 観光地も一変した。ウェールズのツアーを率いた英国旅行社の幹部マーク・ガードナー(41)は、同市内に泊まった顧客に幾つかのスポットを紹介した。「2年前、大分に来てリサーチしておいた。みんな旅先の文化を知りたいんだ」
 その一つが別府ロープウェイ。試合日の前後は鶴見岳山頂に向かうゴンドラが多様な国・地域のラグビーファンでにぎわった。登山帰りに乗車するなど、自然体験を好む欧米やオーストラリア人らに好評だった。
 ホームページも多言語化した。「来年は東京五輪・パラリンピックもある。一過性にしないよう、情報発信の努力を続けたい」。社長の榎本方士(まさし)(57)は先を見据える。

 「欧米豪」からの客は旅慣れた人が多く、滞在地の文化を尊重する。しかも豪快に飲み、外貨を落とすことをためらわない。
 県内約400軒が加入する県旅館ホテル生活衛生同業組合の専務理事、堀精治(67)は言う。「もう一度W杯をやってほしい、という声が早くもある」
 本格的に呼び込もう―。宿の街・別府では、これまでインバウンドへの関心が薄かった施設も目の色を変え始めたという。
 =敬称略・第11部終わり=
※この記事は、10月30日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。
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