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建築の模型をベースにしたアート作品に反響、自由な発想で目指すは”建築模型”の地位向上

 ジオラマやドールハウスなど、いつの時代も人気の趣味であるミニチュア作品。それとは似ているようでどこか異なる魅力の作品を生み出しているのが、29歳の建築模型作家・okamoto barba namiさん(Twitter:@o_barba_n)だ。建築模型をベースとした作品は無機質でクール、どこか不思議な世界観を演出している。建築模型がokamotoさんの手によってどのようにアート作品に変化したのか…作品の魅力やこだわり、きっかけ、また建築模型の現状や今後の予定などを聞いた。

【写真】建築模型で「つみき」遊び? アイディア溢れる建築模型作品ギャラリー

■ジオラマやドールハウスとの違い「建築模型はこれから大きくなるもの」

――ジオラマやドールハウスなど、一般的なミニチュア作品と異なる魅力はどのようなところでしょうか。

【okamoto barba namiさん】 ジオラマやドールハウスは元々ある空間を小さくしたもので、素材、色、精密さなど、できるだけ再現度を追うイメージです。対して建築模型はこれから大きくなるもの、というのが大きな違いかと思います。検討・実験の意味合いが強いので、より空間の可能性がひらけている気がして好きです。性質上、素材や表現をある程度絞る必要があるので、線の取捨選択が生まれてエッジが効き、素材も現実ではありえないような組み合わせになります。製作にあたって、どの線を省いてどの線を拾うかという勝負はアツいです。

――家具は木のような質感ですが、主にどのような材料で制作されていますか?

【okamoto barba namiさん】 だいたい紙です。紙はたいへんありがたい素材だと思います。加工がしやすくて手に入りやすく種類豊富で安価、基本的に特別な接着剤も要りません。自分の手に負える素材を使うのがけっこう大事だと思っていて、金属とかアクリルとかも魅力的だけども、扱いが難しいのであんまり使いません。私はそっちの開拓より紙をもっと掘ろうかなという感じです。

■建築模型作品の原点は「設計者の純粋な発想・理想をプレゼンレベルで作りたい」

――プロフィールを拝見したところ、大学では芸術を学ばれ、その後に専門学校でスペースデザインを学ばれたと拝見しました。建築模型に出会うまで、どのようなことを学んでこられたのでしょうか。

【okamoto barba namiさん】 大学では文学部の芸術学科で、西洋美術史を専攻していました。実技はほぼ無くて、美術史学や図像学を勉強していました。同時に学芸員資格の取得を目指していたのですが、「やっぱり作る方をやりたいなあ」と思い立って専門学校の受験を決めました。元々はイラストを伸ばすつもりで入った専門学校でしたが、一年次の基礎造形過程で、どうやら立体が好きらしい、かつできるらしいと気付いて2年次からスペースデザインを専攻。やっと建築模型に出会いました。

――卒業後は実際に建築事務所でお仕事をされていたそうですが、どのような建物の建築模型をご担当されていたのでしょうか。

【okamoto barba namiさん】 私がいたのは2020年東京五輪の新国立競技場等を手掛けられた隈研吾さんの事務所でした。個人事務所にしてはかなり規模の大きい所だったので、個人住宅からホテルや美術館といった公共施設、また海外のものまで多くのプロジェクトがありました。私自身は建物というよりも、添景(模型における人物、什器、家具、車、植栽など、建物本体ではない部分)を頼まれることが多かったです。いい添景は模型の完成度を底上げしてくれるのですが、あまり時間を割けないことが常で、早めに依頼してもらって時間をかけられるときは非常に楽しかったです。

――“空間系のデザインは縛りが多い”、“大人の事情からはみ出す、あんまり意味のない空間の構成を、ドローイングや模型にして消化”している…と伺いました。現在制作されているようなインテリア作品やポストカードなどの絵の形になったのはどのようなきっかけがありましたか?

【okamoto barba namiさん】 空間デザイン周りでは「スタディ」という概念があります。設計の始めの段階で、コンセプトに応じていろんな空間構成の案を出し、それを模型に起こして比較・検討・修正します。ここまでは設計者の純粋な発想・理想が具現化したものですが、実際建てるとなったとき、構造・工法・法規・予算などなどに揉まれてどんどん変わっていきます。そこらへんをどう落とし込むかという面白さもありますが、私はそっちに割り切れませんでした。スタディで止めておこう、むしろスタディをプレゼンレベルで作ろう、というのが今の状態です。ある意味今も専門の課題の延長のテンションかもしれません。ただ、課題が先生から出るものでなく、“そのへんからぽこぽこ出てくるもの”に変わりました。

■ゲームの空間を模型に…「いいところまでかたちにできたら、コミケに出るのが目標」

――では、作品作りのこだわりはどのようなところでしょうか?

【okamoto barba namiさん】 作業上やったほうがいいと思えることをできるだけやることです。紙には裏表と縦横があるから使用用途に合わせたほうがいいとか、パーツを切り出すとき部位ごとに定規をあてる向きを変えるほうがいいとか、気にできることが無限にあります。そういうの全部気にしなくても成立はするんだけど、それでもしたいよね、気にするだけの時間とりたいよね、という心意気を持っていたいです。実務での模型だとこの感覚はなかなかご迷惑をかけるので難しいところです。

――繊細でデリケートな作品ですが、長く楽しめるように作るときに気を付けていることや、購入した方に気を付けてほしいことはありますか?

【okamoto barba namiさん】 作るときは精度に気を使います。精度はそのまま強度になるので、お届け先でもより長く楽しんでいただけることにつながると思っています。気を付けてほしいことは、単純に衝撃と、やはり日焼けによる劣化があるので直射日光です。

――建築模型を作品として発信することで、建築模型がどのような存在になることが夢でしょうか。

【okamoto barba namiさん】 一般認知度が上がるのはもちろん、建築模型を作っていても建築模型の表現の幅を知らない人がたくさんいると思うので、その辺の目にも留まると嬉しいです。そしてゆくゆくはクライアントさんの理解が深まって各設計事務所が模型に割ける時間を増やせるようになったら素晴らしいです。最終的には建築学部建築模型学科が設立されたらすごいですね。

――今後、どのような予定や目標がありますか?

【okamoto barba namiさん】 作品集と個展は常に頭のすみにあります。あと、作者が元建築家である『バーバパパ』への憧れがあり、製図を応用したドローイングで絵本を描くつもりです。また、ゲームの空間に興味津々です。ゲームの空間(特にちょっと前の)はストーリーやギミックに応じていい感じにルールがあって、模型っぽいなと思います。『スーパードンキーコング 2』、『リトルナイトメア』、『FFT』『FF11』『FF14』などが好きです。私自身全くプレイはしないのですが、たまにゲームを覗いて素敵な空間を見つけては模型化したいと常々思っています。いいところまでかたちにできたら、コミケに出るのが目標です。

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