11月15日に開かれる第45回大分国際車いすマラソンの取材で、新コースを紹介する動画の制作現場について聞いた。
撮影したのは大会事務局の職員。日曜の午前6時、まだ交通量の少ない時間を狙い、車のボンネットにカメラを取り付けてコースを走ったという。撮影には360度カメラを使ったが、完成した動画では前方の映像だけを切り出している。
これだけ聞くと、ずいぶん本格的だ。
さらに映像には「Google Earth Studio」を使った空撮風の表現も盛り込んだ。薄暗さや逆光に悩まされながら、撮った映像をつなぎ、選手がコースをイメージしやすいよう編集した。
専門の映像制作会社に頼んだのかと思ったら、違った。事務局職員の自作だった。
思わず「そんなことまでやるんですか」と聞いた。
返ってきたのは、少し疲れたような笑顔だった。
大会を支える仕事というと、選手の受け入れや会場準備、ボランティアの調整などを思い浮かべる。だが実際には、そんな肩書ではくくれない仕事が次々に出てくる。
必要ならカメラを扱い、編集ソフトを覚え、地図の見せ方まで工夫する。
大会をより良くしようとすれば、いつの間にか仕事の幅は広がっていくらしい。
もちろん、選手にとって大切なのは大会当日の走りだ。けれど、その一日を支えるために、誰かが早朝の道路を走り、画面の向こうで何度も映像をつないでいる。
華やかな大会ほど、見えないところに細かな仕事が積み重なっている。
大会運営とは、どうやら「何でも屋」になる覚悟も必要らしい。
あの少し疲れた笑顔を思い出すと、たぶん冗談ではない。
大会を支える裏方には、早朝から地道な作業が続く。
(衛藤知愛)