▼休日のランチに寄った店で1人席に案内されると、隣の席から「おっ」と声がした。数年前に退職した大先輩と久々の再会。ご無沙汰しております、とあいさつしていると、奥の席にも見覚えのある顔があった。こちらは少し前に転職した後輩。「あれ、2人は何か関係があったやろか」
ご一緒ですかと尋ねようとした矢先、先輩が後輩の方に振り向き、「あら、あなたもおったんか?」と一言。ものすごい、ただの偶然だったことが判明した。3人でひとしきり近況を話し、新しい名刺までもらうと、共通の話題はほぼない。「こんなこともあるんやな」と何度か繰り返し、そのまま別れた。
入社したばかりの20年前なら、常にネタに困っていた「ミニ事件簿」に仕立てたはず。そう思い、それっぽい文章にしてみたが、立て続けに懐かしい顔に会った瞬間の驚きは、なかなかよみがえってこない。筆力が上がっていないのか、はたまた出来事のパンチが弱いのか…。先輩と後輩には申し訳ないが、後者であってほしい。(宮家大輔)