復興へ1票、鶴保発言に歯がゆさ

9日、記者会見を終え引き揚げる自民党の鶴保庸介参院議員=和歌山市

 ブルーシートで覆われた建物に、ひび割れた道路。昨年の地震の爪痕が今も残る石川県能登半島の有権者たちは、未来を託し、参院選に1票を投じた。だが復興に関する論戦は埋没気味で、期間中には自民党の鶴保庸介参院議員が「運のいいことに能登で地震があった」と発言。憤りや歯がゆい思いをにじませる。

 珠洲市の80代男性は、石川選挙区で当選した自民党現職の宮本周司氏(54)に投票した。「能登では昔から自民党が強いから、ずっと投票している。簡単に気持ちは変わらない」と明かす。

 地震で自宅が全壊し、現在は仮設住宅で暮らす。鶴保氏の発言に「あり得ない。被災地の現状を見たら、あんな発言が出てくるはずがない」と憤りを隠さない。それでも「復興には政策を実現できる強い政党が必要だ」と話し、現政権下での復興の継続を望んだ。

 被災地で店を営む40代男性は復興の遅れに不満があり、落選した野党候補に1票を託した。「人口の少ない能登で地震が起きたと思っているから出たのだろう。自民党の本音ではないか」。鶴保氏の発言の背景には、国会のある東京と被災地との温度差があると指摘する。

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