空間ペインター 芳賀健太さん(42)=大分市=
「アートなんてゴミだ、ゴミだ」―。私が関係する美術団体が開いた会議で、90歳を超えた写真家が、終活を理由に自らの作品を処分するという話があった。冒頭の言葉は、そこで出た発言で、非常にショックな言葉だった。
私の職業は画家。21年の活動の中で、作品を「人生の宝」だと言ってくれる人もいれば「救われた」という人もいた。そういうこともあり、アートに誇りを持っている。その分、冒頭の言葉が余計にショックで、深く考えさせられた。
話題は変わるが、私はアートの活動とは別に、地球環境の問題を考える行動を始めてもう20年以上がたつ。
1970年にアメリカで始まった、地球のために行動する日「アースデイ(4月22日)」というものがある。国や宗教、人種や主義主張を超えて、地球環境のことを考えるという日のこと。日本はもちろん、世界各地で、その日に合わせて、さまざまなイベントが開催されている。
私も、その趣旨に強く共感し、2006年からご縁があり仲間で「アースデイおおいた」というイベントを始めることになった。実行委員の立ち上げに関わり、協議を重ね、手探りながらも2007年からイベントを始めた。
2008年からは、別府公園で開催している。いまでは、趣旨に賛同する農家やさまざまなお店、団体、企業などの出店者が30~40店舗以上集まり、約3千人規模の集客のあるイベントとして毎年、開催している。
私も2009年から2016年までは実行委員長としても活動を続けたが、いろいろなことがあり、活動10年の区切りで実行委員会は解散。仕事に集中するため、一時離れたが、別の想いのある有志の方の存在で継続されることになり、現在もイベントは続き、再度合流している。
それからはイベントの運営とは別に、一人のアーティストとして環境問題に対してできることを考え始めた。海洋プラゴミを拾って、それを素材として再利用する作品づくりに挑んだ。
2023年からアーティスト仲間と共に、「アートの楽園」というブースを作り、新たな取り組みを始めた。冒頭の「アートはゴミ」という発言からも大きな影響があり、ゴミとアートや宝物の違いはなんだろう? と価値についても、深く考える機会になっている。
作家にもよると思うが、そもそも、アーティストは、どれだけ長く作品が残るかを考える。時代を超えて何百年も残る作品にしたいと日々努力を重ねている。しかし、逆に、この海洋プラゴミは、何百年、何千年と、自然に還(かえ)ることなく、海に残り続けるということが問題視されている。まずは、ここの気づきが大きかった。
当初は、ゴミをアート作品に変えると決めたものの、いざ制作に入ると、汚いゴミに囲まれ、「私は一体何をしているんだろう?」と虚無感に苛(さいな)まれる瞬間も多々あった。そんなことがありながらも、作品づくりを毎年続ける中で、だんだんと見えてくるものもあった。
賛同者も少しずつではあるが生まれ、だんだんと広がってきた。今年は、福祉関係の施設や小学校でもワークショップで、海洋プラゴミをアートに変える活動の提案をし、100人を超える参加者と共に活動をする予定になった。また、11月末に開催される大分市主催の環境イベントでも、この活動を披露することになり、3年間続けてきてよかったと心から思っている。
最初から理解してはいたが、環境問題は一人では解決できない大きな問題であるということを、活動を続ければ続けるほど、日々実感する。
だからこそ、今回の「地球さんご賞」との縁ができたことは、とてもうれしい。文章を通じて、多くの人が環境問題と向き合うきっかけになるということ。また、「地球さんご賞」実行委員会でも、これまで出会っていなかったが、同じような想いで活動をしている人がいることを知ると、言葉にできないほどの勇気や力につながる。
「アートとゴミの違い」の問いのように、きっとこの活動も無駄ではない。みなさんの思いや言葉の一つ一つが、宝になり、未来につながると信じている。